「全くがっかりさせてくれるわ。何なの、あそこは? よってたかって子どもの感性を摘み取っているじゃない。そうは思いませんか?」
保育園からの帰路、車内で小谷野にかみついた。
「僕も、見ていてきつかったよ。年をとったせいかもしれない」
「保育園って昔から、あんな感じなんですか?」
「いや。弁解するつもりはないけど、あそこはもう少し違っていたと思うよ。先生たちが若かったからね、体当たり保育っていう感じだった。もっとも、男の見方だからあてにならないところもあるだろうし、正直な話、そんなことを考えているゆとりもなかったよ。若くて貧しかったんだから」
「気づかなければそれまでなんでしょうけど、私は色々と感じてしまった。子どもはああやって、ひたすら親が迎えに来てくれるのを待っているんだわ。胸が痛い」
「同感だよ」
押し黙った小谷野に遠慮して、言葉をたたんだ。
あの日、園に着いたのは、お昼を少し回った頃だった。園児たちは、食事の真っ最中だった。ヒヨコが餌をついばむような愛らしくも平和な光景だったが、園児たちが首から掛けている長いエプロンに違和感を感じた。
「あの長いエプロンは何ですか?」
隣にいる園長に尋ねた。
「こぼしても片付けが楽なように、あの上で食べさせるんです。入園の際に、手作りしてもらっています」
話の途中から、無性に腹が立ってきた。教育者と呼ばれるその女性の横顔をまじまじと見た。