第12章 サンの小屋(10) | 3.5次元の不倫

3.5次元の不倫

この本は恋愛と人生についての小説ですが、
ひきつづき児童書(英語の対訳付)を書きました。
おたのしみに!

「全くがっかりさせてくれるわ。何なの、あそこは? よってたかって子どもの感性を摘み取っているじゃない。そうは思いませんか?」

保育園からの帰路、車内で小谷野にかみついた。

「僕も、見ていてきつかったよ。年をとったせいかもしれない」

「保育園って昔から、あんな感じなんですか?」

「いや。弁解するつもりはないけど、あそこはもう少し違っていたと思うよ。先生たちが若かったからね、体当たり保育っていう感じだった。もっとも、男の見方だからあてにならないところもあるだろうし、正直な話、そんなことを考えているゆとりもなかったよ。若くて貧しかったんだから」

「気づかなければそれまでなんでしょうけど、私は色々と感じてしまった。子どもはああやって、ひたすら親が迎えに来てくれるのを待っているんだわ。胸が痛い」

「同感だよ」

押し黙った小谷野に遠慮して、言葉をたたんだ。

あの日、園に着いたのは、お昼を少し回った頃だった。園児たちは、食事の真っ最中だった。ヒヨコが餌をついばむような愛らしくも平和な光景だったが、園児たちが首から掛けている長いエプロンに違和感を感じた。

「あの長いエプロンは何ですか?」

隣にいる園長に尋ねた。

「こぼしても片付けが楽なように、あの上で食べさせるんです。入園の際に、手作りしてもらっています」

話の途中から、無性に腹が立ってきた。教育者と呼ばれるその女性の横顔をまじまじと見た。