アイリッシュハープとクラシックハープの違いについて、日本ではよく知らない方も多くいらっしゃると思います。どちらもハープではあるのですが、ジャンルが異なります。
アイルランドのアイリッシュハープ、またはケルティックハープはケルト音楽のための伝統楽器になります。演奏する音楽は、主にアイルランドやスコットランドなどのケルト音楽になります。
日本ではケルト系の音楽と言えば、ケルティックウーマン、エンヤなどが有名ですが、伝統楽器で演奏するのは、伝統的なその土地の音楽になります。軽快なダンス曲、スローエアーと呼ばれる民謡、17世紀のハープ奏者、ターロック・オカロランが作曲したハープ用の曲などを主に演奏します。
アイルランドのアイリッシュハープ、ケルティックハープは、それだけで楽器としての分野が確立されており、その後グランドハープのような大きなハープに移行することはありません。
そして練習法としては、耳から曲を聞いて、覚えるのが本来の覚え方です。楽譜は本来は使いません(最近は、使う奏者が増えていますが)。アイルランドでは、今も有名な奏者の方で、全て楽譜なしで曲を教えている奏者は多いです。私がアイルランドで習った時は、全て耳から覚えて、楽譜は一切使いませんでした。
私も最初は、楽譜を全く使わずに、教室で教えていたのですが、日本の場合はピアノからハープに入る方が多く、途中から楽譜を自分で作り、取り入れるようになりました。ただ耳から覚えるというのが本来のアイリッシュハープの覚え方ではありますので、それができる方は、そちらの方が理想的です。本来は楽譜を見ながら、一度に最後まで弾いてしまうのではなく、その時覚えられる分だけ覚えて、ゆっくりと時間をかけて、一曲を覚えていくタイプの音楽ですので。
写真は、2019年に教室のアイルランドツアーの際に、アイルランドで撮影したアイリッシュハープの演奏風景です。
エイリーシュ・ニーダムさん。
ウィリアム・ジャクソンさん&グローニャ・ハンブリーさん。
一方、クラシックハープは、クラシック音楽のための楽器です。
クラシックハープの分野でも、アイリッシュハープを教えていますが、クラシックハープの場合、アイリッシュハープはグランドハープへ行くための準備段階の楽器です。アイリッシュハープで握力と基礎的な奏法を身に着けてから、グランドハープを始めます(生徒さんの場合は、グランドハープはお値段が高いので、アイリッシュハープだけ習われている方もいると思います)。
そしてクラシック音楽ですから、楽譜通りに正確に演奏します。
基本的には、クラシック音楽を演奏しますが、他にも色々な曲を演奏するようです。
クラシックハープの場合、グランドハープは弦が硬く、演奏するのに力が必要ですので、アイリッシュハープを弾く時も、それなりに大きな音で演奏します。
写真は、銀座十字屋さんのグランドハープです。
クラシックハープの奏者でアイルランドの曲を演奏する場合もありますが、力強く演奏するので、アイルランドの伝統音楽のアイリッシュハープとは雰囲気が変わります。装飾音も付けないことが多いようです(アイリッシュハープの場合は、装飾音は必須です)。手のポジションも違うところがあるため、弾いているところを見れば、だいたいクラシック出身の奏者か、そうでないかは分かります。
たまにアイルランドのアイリッシュハープとクラシックのグランドハープ、両方をされている奏者もいるようです。
アイルランドのアイリッシュハープでも、伝統音楽以外の曲を演奏することはできます。楽器の構造はドレミファソラシドの音階ですので、私もジブリなど、youtubeにたくさんアップしています。趣味に合わせて、色々な曲を弾くことができます。
生徒さんの中にも、映画音楽やポップスなど色々な現代曲を弾かれている方もいます。
クラシックも弾こうと思えば、アイルランドのアイリッシュハープの奏法で弾けなくはないのですが、アイリッシュハープだとそこまで強く弾かずに、優しい感じになりますので、どこか雰囲気が違った感じになってしまいます。
たとえばオペラ歌手がポップスを歌うと、雰囲気が変わるように、それぞれ音楽の分野が違いますので、演奏できなくはないけれど、雰囲気が違った別物になるということがおきてきます。
また日本の場合、アイリッシュハープという名称で、クラシックハープを教えている教室が圧倒的に多く、アイルランド本場のアイリッシュハープを教えている教室は、全国的にもわずかです。
ケルト音楽を習いたい方は、アイルランド流のアイリッシュハープ、クラシック音楽を習われたい方は、クラシックハープを習うのがベストですが、日本の場合はハープというイメージで始められる方も多いので、どちらかの枠にこだわらない方は、とりあえずどちらかを習ってみるというのも良いかと思います。
私の教室の場合は、私のyoutubeのジブリの演奏を見て、来られる方も多いです。
私の教室でも、教室に来られるまでは、一度もアイルランド音楽は弾いたことがなかったという方がたくさんいらっしゃいますが、親しみやすい曲が多いので、弾いていくうちに好きになるケースが多いです。
湯布院教室の近くの冬景色。
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