ファミえんに行ってきた。


2013年からスタートしたファミえんも気付くと10周年を迎えていた。

初回の2013年の頃は、まだエビ中が都内でいつでも見られる時期で、丁度その頃チームしゃちほこの初ZEPP TOKYOにいたく感動してしまった僕はまだ海のものとも山の物ともよくわからない「遠足」なんかよりしゃちの日比谷ワンマンを選択してしまうというファミリーとして痛恨のミスを犯してしまった。


そんな訳で初ファミえんこそ逃したものの、気付くと2014年以降ファミえんは全日程かけることなく全通している。


もっとも僕の今のエビ中モチベは限りなく、低い。

もう自分からファミリーと名乗る事は無いし、プロフ欄にも入れていない。


転機となったのは、2019年のファミえんだった。2018年12月から桜エビ~ずにハマっていた僕は、2019年も迷うことなくファミえんのチケットを取った。その頃の僕のスタンスは「エビ中も桜エビ~ずもどっちも好き」という状態であった。当時は共に藤井校長が運営だった為「エビと桜エビのイベントは被らない」と、ヲタク内の共通認識があった。


が、2019年8月、突如として「桜エビ~ずの浴衣リリイベ」が発表された。しかも、それはファミえんと同日。なんとか回せないか思いを巡らすもどう考えても無理。

結局僕はファミえんを選んだ。勿論ファミえんは素晴らしかったし、それは事実ではあるのだが、当日桜エビ~ずを選んだ友達のもあちゃんの浴衣写真を見る度に胸の奥がキュッと詰まる。あの日を境に僕の中でエビ中は「行ける時だけ行く」グループ、となった。


とはいえ、やっぱりファミえんだけは毎年行きたかった。すっかり曲もグループのパフォーマンスもあがり「学芸会感」が薄まってしまったエビ中が、唯一僕が好きになり始めた頃の「ただ楽しいだけのグループに戻る」ライブだからだ。言わばファミえんは僕なりの年に一度の「先祖帰り」するイベントなのだ。


昨年に続き、今年もTIFと被っていた。TIFを重要視するアイドルは多い。いや、全てのアイドルにとっての総本山、といっても過言ではないだろう。今現在通っているクマリデパート、tip Toe.という2つのグループも同様であり、今一番推してるグループを裏切る形になる事は目に見えているのだが、ファミえんチケット発売の頃はそこまで深く考えもせず、毎年一緒に行っている友達の誘いに二つ返事で「行く!」と返した。


「色々な事情」があり、TIFは金曜日の初日だけは行った。お目当てはクマリデパートだった。翌日のファミえん遠征を鑑みて、クマリデパートの出番が終わると、仲間からの誘いを断りまっすぐ帰路に着いた。そんな時、友達からのLINEを見て愕然とした。


2日目の土曜日にTIFに出演するtip Toe.の現体制終了という実質解散が発表されたのだった。



tip Toe.は去年の10月から通っている。tip Toe.は元々3年縛りのグループであり、いずれメンバーが「卒業」する事は分かっていた。現2期はメンバー毎に加入時期が異なる。僕の推しである「未波あいり」がもっとも古く2020年6月加入である。本来なら既に卒業している計算になるのだが、グループ自体の準備期間やらコロナ禍で活動出来なかった事もあり、2023年6月卒業、ではないらしい、という事は通い始めの時点であいりちゃんから聞いていた。とはいえ、グループとしては存続していくのだろう、と朧気ながら思っていたのだが…。まぁそれはそれとして、このタイミングで発表される、という事は否が応でも「tip Toe.最後のTIFを見ろ!」と喉元にナイフを突きつけられたようで、流石にTIFを干す事の罪悪感が半端ない。とはいえ、もう既に友達と一泊二日の山中湖を手配してしまっている以上、苦渋の決断ながら干さざるを得なかった。


8/5 day 1


自分は行かなかったが7月のSPARKで、バスが渋滞して新宿から山中湖まで5時間位かかった、と聞いていた。ファミえんは大丈夫だろう、と思っていたものの結局4時間かかり、8時15分に新宿発だったのだが山中湖に到着したのは12時近かった。


会場時間の15時過ぎに友達とゆるゆると会場へと入りグッズコーナーを眺める。もはや数年エビ中グッズを買っていないのだが、ファミえん気分をあげる為に幾つかあるリストバンドから、最近何となくりったんばっか見てるし、と5年前位に買った黄色いリストバンドを家から付けて行ったのだが…黄色はぽーちゃんでしたね…。失敬。デコだし心菜の画像があまりにも好きすぎて暫く団扇を買うか悩む。でもガマンした。大人なので。


我々のブロックは「U」だった。毎年ファミえんはブロックが中に入らないと分からない。中に入ると「U」はステージ一番前方の下手側だった。友達と喜ぶ。もっとも既に前方は埋まっている。場内を見まわすと左右後方に櫓が見えた。という事は櫓にメンバーが来るだろう。そして真ん中にはかなり大きめのセンターステージ。我々はセンターステージ寄りの後方に陣取った。


しかし…ファミえんは開演までが長い、長い、長い…。15時開場16時半スタート、と1時間半もある。場内BGMで「楽園ベイビー」が流れる。どうして日本全国夏のライブハウスの場内BGMって「楽園ベイビー」なんだろう?毎年50回は「楽園ベイビー」を聴いている気がする。もはや国家と呼んで良い。


この日の山中湖の気温は分からなかったが、それなりに暑いものの、汗は余り出ない。東京と比べて不快な湿気が無いからだろうか?開演の16時半でも外はまだ明るかった。


時間になりライブがスタートした。今年はステージに巨大スクリーンがあった。ebitureに合わせて過去の映像が流れる。「う、おい!う、おい!」、観客が一斉にコールを始めた。

「あ、そっか!」全く気にしてなかったのだが、コール有りのファミえんは2019年以来、4年ぶりなのだ。去年は「コール有席」を取ったのだが直前に「コール無し」に変更になった為、結果的に「コールをしたい連中で混んでる」だけのブロックで若干不満を憶えた。声出しが復活した春ツアーも新潟だけ行ったのだが、如何せん最近のエビ中曲が多く、余りコールをした記憶が無い。そういう意味だとファミえんこそエビ中で何の気兼ねも無くコールを出来る4年ぶりのライブ、という事になる。久しぶりに自分も思い切り「う、おい!」と叫んだ。



スタートは「夏だぜジョニー」。い、いかん…エビ中久しぶり過ぎて地面に拳を突き刺す振りコピを忘れている…。いや、そもそも今ってジョニーってやってんのか?しかし、エビ中ファミリーは凄い。膨大に楽曲あるのによくもコールも振りコピを憶えているもんだ。今でこそこんなだけど一応2012年から2019年まではかなり通っていた方なのだが…。


2曲目は「エビ中音頭」。途中で騎馬戦の時のリフトみたいなのをやっていた。真山とののかだったかな?これはまぁファミえんでしか聴けない曲な気もするのでちょっとだけ得した気分になる。


3曲目は「青春ゾンビィィズ」。発表当時はピンと来なかったけど、良い曲だよね。とはいえ、珍しくも無いので若干モチベ下がる。


4曲目「ほぼブラジル」。なんかブラジルってレア曲扱い、ってか流れると「ぶぉぉぉぉ!」ってなる人多いけど結構やってません???


と、ここまでは割と自分の中では想定内の盛り上がり。


5曲目の「ラブスマ」が来た時点で「ファミえん来たぁぁぁぁぁ!」スイッチが入る。ここで初めてセンターステージにメンバーがやってくる、勢いよくファミえん名物の放水タイムに突入。とはいえ、結構ファミえんは場所や風向きで水が来るブロック、来ないブロックがある。終演後に他ブロックの友達と話すとどうやらこの日は我々のUブロックが当たりのようでゲリラ豪雨ばりに水が降り注ぐ。楽しい楽しい楽しい!!!!


続けて6曲目の「ちちんぷい」に突入。特に繋げてあるわけではないのだが、「ラブスマ」からの「ちちんぷい」のオープニングの流れが完璧すぎてアドレナリン爆上がり。ジョニー辺りでは割と棒だった自分がここになると全身使って「ダンソン」ミックスを打っている。


更に7曲目は「揚げろ!エビフライ」。ただ単に暑さよけに首にタオルを巻いていたのだが、慌ててタオルを手に取って振る。


個人的に「ラブスマ」から「エビフライ」までが前半の興奮のピークだった。


8曲目「イヤフォン・ライオット」9曲目「誘惑したいや」10曲目「朝顔」。この辺りはちょっと落ち着いた名曲群。あ、いや、この辺も良かったですよ。特に「朝顔」は何度聴いてもじんわりしてしまう。「誘惑したいや」。そもそも2013年ファミえんで干した事を後悔した瞬間は「誘惑したいや」の映像見た時だったよなぁ。正直最近のエビ中はパフォーマンス力があがった反面、「誘惑したいや」本来のエモさが薄まった気がするのだが、妹たちの加入によりまたエモさが増したように思う。この辺りののか、ゆの辺りに自然と目が行ってしまった。ロリコンなんですよね、自分。


11曲目、再びセンターステージに戻って来て「イート・ザ・大目玉」、12曲目「HOT UP!!!」もう言わなくてもあがりますよね、ここは。


そして13曲目はお姉さんメンバー(真山、安本さん、みれい、かほりこ)は舞台袖に消え、妹メンバーで「いつかのメイドインジャピャ~ン」。ここは意外過ぎて場内大歓声だった。凄いよなぁエビ中は。妹メンバーだけで十二分に魅了できるパフォーマンスを持っている。この曲だとやはり心菜のヤンキー感が強い。この曲は2014年の、ロッキン?だっけ?サマソニ?あの時の印象が強い。


14曲目は妹メンバーが下がり、お姉さんメンバーで「響」。もし仮にアイドル曲で1曲選べ、と言われたら多分自分は「響」と答えるだろう。その位好き。


あぁ、ここでメンバー衣装チェンジしてMCだったかな?金魚をイメージしました、みたいな話だった。書き忘れたけど前半の自己紹介で心菜の「へそ出しマーメイド」に対して安本さんに「あやちゃんは何マーメイド」と無茶ぶりされた時に安本さんが「マウンテンマーメイド」と答えていたのが如何にもで良かった。ぽーちゃんが「海か山かどっちかにしてください」みたいなツッコミも良かった。ファミえんはこういうゆるいMCも楽しい。


真山が今回、ステージにモニターを付けたのはいつも富士山が見えないから、だったら、と付けたと教えてくれた。もっともこの日はめちゃめちゃ天気が良く、肉眼で見えたので失敗でした、とも。カメラマンの配慮で富士山がモニターに映し出される。実に美しい。Uブロックは一応1/3位は富士山が見えてはいるのだが、確かにこの天気だったのなら、ステージ後方開けといて貰いたかった、と野暮な事を考えてしまう。


そして全員金魚衣装になって15曲目は「23回目のサマーナイト」。この曲はやはり、真山とみれいが上手い。今のエビ中の強みはこういう大人な曲にはお姉さんメンバーが、わちゃわちゃした曲は妹メンバー、と幅が広がっているのが強い。これはかつてのエビ中には無かった強みである。


16曲目の「kyo-do?」を経て、17曲目は「買い物しようと町田へ」。個人的に一番今回「うぉぉぉぉ!」と来た曲。これは久しぶりだよね?2日目のMCでメンバーもそう言っていたので多分間違いないと思う。これは「サンデー」と言っているだけで楽しくなる大好きな曲だから、今回セトリ入りは単純に嬉しい。


18曲目の「Summer Glitter」。実は配信聴いてませんでした!まぁ、ファミえんで聴くし、賛否両論聞いていたし…。うーん、はっきり書くと、微妙。。。ちょっとメロディーが曖昧でどうノっていいのか分からなかった。寧ろ19曲目の「summer dejyabu」が輝いてしまった…。


20曲目の「まっすぐ」を挟み、21曲目の「サドンデス」で本編は終了。前半でえまち、とゆなのやり取りで「サドンデス」を彷彿させるやり取りがあってののかが「これだとサドンデスが始まっちゃう」って言っていたのが可愛かった。


気付くと辺りは暗くなっていた。前半でこそ景気よく放水タイムがあったが、流石に後半は無くなっていたのだが、陽が落ちた事でびしょびしょの服が乾かず、心なしか冷たい。まぁ夏場なので寒いって程でも無いのだが、予備の着替え持ってくるべきだったなぁ。


アンコールは、あれ、なんて名前のやつでしたっけ?メンバー名呼ぶovertureみたいなやつ。あれでスタート(適当)。


22曲目、本編ラストに続き岡崎体育曲の「Family Complex」からスタート。ぶひぶひ鳴いてみろ。ぶひぶひぶひぶひ。

23曲目はセンターステージで「フレサイ」。あぁぁぁ、ペンラ持ってな~い…。基本もうエビのライブではペンラ持たないし、別に気にしてないのだが、この曲だけは後悔した。夜の山中湖に光るペンライト、それはもう本当に美しかった。

24曲目は「ロックリー」。この曲も妹メンバーがやたら光っていた。「げじまゆげ」パートの、ののかだったかな?ゆのだったかな?やたら可愛かった。ロリコンなので。


そしてラスト25曲目はセンターステージで「ナチュメロらんでぶ~」。まぁ、エモい。まぁ予想は付いたけど案の定、花火があがる。初ファミえんのえまが花火の音に驚いて「うわ」って発しちゃったのが可愛かった。余程嬉しかったのか、歌いながら花火をずっと見ているえまの横顔が美しく、花火を見るべきかえまを見るか悩んでしまった。まぁ、自分黄色いリストバンドなんすけどね。


1日目のファミえん終了。正直、やはり4年ぶりのコールありファミえん、とてつもなく良かった。去年もそれはそれで良かったし、絶賛していた気もするのだが、コールやら水を大量に被ったり、で気持ちの良い疲労感を感じた。あぁ、これぞファミえんだよな、と4年ぶりの「ちゃんとした」ファミえんの幸福感、半端なかった。


8/6 day2 


朝目覚めてtwitter(現X)を開いて慌てた。エビ中公式から「本日のファミえんは、雷雨の場合、中断もしくは中止にします」との告知。数日前に山中湖の天気予報を軽く見て勝手に土日は晴れ、と勘違いしていたが、どうやら午前中は雨、昼からは雷雨予想になっている。一応合羽は持ってきたのだが。。。


2日目はCブロック、つまり、後方。番号もあまり良くない。友達とふわふわ会場に向かったのだが、ぽつぽつと雨が降り始めたので会場から10分程度先のバス停で雨宿りをした。暫くして開場時間直前に豪雨にと変わった。合羽があるとはいえ、流石に豪雨はつらい。番号も良くないので雨が落ち着くまで待ってから会場へと向かった。


day 2は殆ど曲は変わらなかった。当初は変わる想定だったのだが、1曲目の「ジョニー」2曲目の「ゾンビ」辺りで「あ、昨日と同じか」と気付いた。


なので2日目は書くことは余り無い。Cブロックには殆ど放水は来なかった。まぁ、水がかかるかからないって結構モチベ変わるんですね。1日目にあれだけ「ぶぉぉぉぉ!」と興奮した「ラブスマ」も「ちちんぷい」も割と淡々と聴いてしまった。


もっとも2日目は雨が降っては止み、止んでは降り、の繰り返しで自然と濡れた。のだが、それは放水による濡れ、とは違う訳で、「知らんアイドルのいいねはさして嬉しくない」法則みたいなものである。


但し。


初日で「朝顔」だった10曲目が「いい湯かな」に変わった瞬間、スコールのような薄い雨が降った時間だけは神がかったように素晴らしかった。「いい湯かな」個人的には2015年の、ぽーちゃんのおじいちゃんが見に来ていた夕陽を背にした長岡のファミえんが印象深かったが、2023年もそれに並ぶくらい素晴らしい光景だった。これはもう自然の演出、というか、あの瞬間に山中湖にいたものだけが味わえた「体験」だったのだと思う。


勿論、検索すればセトリは出てくる、スカパーでの放送を見れば映像も見れる。でもそれはあくまでも「知る」だけであり、「体験」ではない。


あの美しい本当の「いい湯かな」は山中湖だけにしか存在していなかった。


この辺のMCで真山が「いい湯かな」の時の雨を「サウナみたいで良い感じじゃない?」的な話をした時のぽーちゃんの「勝手に整わないでください!」が今回のファミえん一可笑しいシーンだった。サウナの「整う」となぞかけの「整う」をかけ合わせてる。うまいなぁ。こういう面白い単語を瞬時に出せる、言語能力の鋭さはぽーちゃんの魅力だと思う。


以降のセトリで変更になったのは15曲目の「23回目のサマーナイト」が「青い青い星の名前」に、19曲目の「summer dejyabu」が「幸せの張り紙はいつも背中に」に(ここは流れとして1日目の方が遥かに良かった)、20曲目の「まっすぐ」が「スーパーヒーロー」に。


アンコールでは23曲目の「フレサイ」が「スターダストライト」に変わっていた。くぅぅぅ…。これは甲乙つけがたい。個人的には「スタダラ」は初日の夜帯に入れてほしかった気もする。これもめちゃくちゃ久しぶりな気がするが、自分が通い始めた「ロックリー」収録曲で散々思い出深い為、自然とクラップの場所は憶えていた。


そしてラスト、初日が「ナチュメロ」だった25曲目は「YELL」に変わった。何となく、エビ中からささやかなメッセージを感じる。なんとも勇気づけられる曲。


こうしてファミえん2日目も無事終了した。午前中一時的な豪雨があっただけで、後は軽く降ったり止んだりだったけれど、さして気になるほどの雨では無かった。


すっかりエビ中から離れてしまった身ではあるのだが、今年のファミえんも文句なく楽しかった。色々悩んだけれど、やっぱり来て良かった。


友達とバス停前でビールを買い、ささやかな乾杯を。高速バスの予約がいっぱいで友達とは別便になってしまった為、友達を見送った。


一人になり、2日間、余り見ていなかったtwitterを見る。病むだけなので、余り行かなかったイベントの情報は集めないのだが、流石にTIFのtip Toe.が気になってチェックする。あぁ…新曲やったんだ…。封印している、と言われてた「さくら草」がスカイステージラストかよ…。クマリのヲタク友達すらtip Toe.のスカイステージを大絶賛している。そりゃそうだよな。解散発表された翌日だもん。悪い訳が無い。


ファミえんで忘れかけていたtip Toe.への罪悪感がむくむくと沸き起こってきた。


その時、さっきまでけろりと晴れていた天気が、突然豪雨へと変わった。


※レゾンデートル

 ①存在意義、存在理由 

 ②tip Toe.の曲名


おしまい