Half Rotary Hook
当店は昭和9年より現在の場所で営業しております。
当時まだ物珍しかったミシンは輸入品しかありませんでした。
当店もシンガー社の代理店として今でいうところのヴェンチャーのようなミシンのビジネスをスタートさせました。
(ミシンと日本の近代)に書かれていたような苦しくも楽しい時代を経て、戦後物資の無い時代には当然輸入品のミシンは全く手に入らなかったそうです。
需要はあるのに売るものが無かったわけです。
そこで当店に限らず当時のミシン店は自らミシンの製造をはじめました。
製造者などといえばきこえはいいですが要はチョット怪しげなガレージメーカーです。
当店のブランドはHARPです。中身はシンガー社15種のフルコピーです。
当時のコピー品の一群を業界人は自嘲を込めてアッセンブリミシンなどと呼びますが、私の祖父はHARP
は一流のアッセンブリだと変な自慢をしていました。
そんなHARPが70年の時を経てオーバーホールに帰ってきました。
パーツの洗浄、糸取りバネ、ゴム輪など交換して試縫いをするとおじいさんの言葉もまんざらでもないなと思ったりしました。合わせて溝キャムてんびんと縦型半回転釜の素晴らしさを再認識しました。
このブログでも何度も書きましたが既にやられちゃってる、とっくに答えはでてる虚しさも少し感じました。