各種報道によると、硫化水素による自殺が増えている。
毎日新聞 によると、硫化水素による自殺の概況は以下の通りだ。
硫化水素自殺は、
1月ごろからインターネットの掲示板で手口が紹介されるようになった。
3月ごろから自殺件数が増え、メディアも大きく扱うようになった。
4月に入って激増し、中旬以降はほぼ連日発生。
3月以降に少なくとも39件47人が死亡した。
国としても、自殺対策の重要性を鑑み、自殺対策基本法 が制定され、
自殺総合対策会議が自殺総合対策大綱 を作成している。
この中で注目したいのが、マスメディアの報道と自殺の関係だ。
毎日新聞の記事で触れられているように、
「報道が自殺の連鎖を誘発する場合がある」。
大綱においても、マスメディアに自殺を誘発するような報道を避けるよう、自主的な取り組みを求め(5頁)、
国としても、WHOの自殺予防の手引きのうち、「マスメディアの手引き」の部分の周知を図っている(16頁)。
今回の一連の硫化水素による報道はどうであろうか。
今回の特色としては、インターネットで検索すると容易に具体的な方法が、
詳細かつ分かりやすく説明されており、それをみて自殺に及ぶというケースがほとんどになっている。
マスメディアの報道が、今回自殺が頻発する主因となっているわけではなさそうだ。
かといって、今回マスメディアの報道が適切であるかを考えてみると、疑わしい。
自殺白書によると、マスメディアの報道に対して期待するものとしては、
問題を抱えたときの解決方法について報道する 46.7%
悩み事の相談先に関する情報を提供する 52.3%
自殺のサインや対応方法に関する情報を提供する 35.8%
(以下略) 出典:自殺予防対策に関する意識調査
となっている。今回の一連の報道では、各地で硫化水素による自殺が相次いでいる
との事実についての報道がメインとなっている。
各種有識者のコメントにより、解決方法や対策についての記述はあるものの、
速報性や中立性、他報道とのバランスが求められているためか、
自殺問題を解決するために根本的にどうしたらよいかまで踏み込んだ分析まではさほど見られない。
このような現状において、硫化水素による自殺が報道されることの意味はどれほどあるのだろうか。
報道を通じて、注意喚起がなされ、世論の後押しを受けて対策が進む、
身近な人が硫化水素による自殺を行おうとしたときに、その兆候に気づきやすいというメリットがあるだろう。
今回のようなケースであれば、異臭がしたときに、自殺かもしれないと気づくとともに、
自らの身体に被害が無いように注意することも可能となろう。
一方で、報道が行われることにより、これまで自殺を考えていなかった人が自殺を考え、
また、その方法で自殺を容易に行うことが出来ると考えるキッカケとなりうる。
現在だけでなく、将来的に自殺をするときの方法としての選択肢が増えることになる。
もっとも容易に行える方法としては、縊死だそうだ。(『完全自殺マニュアル』にその旨の記載があるらしい)
実際、手段別の自殺方法では、縊死が6割を超えている 。
自殺方法で、ガスによる割合も増えていることは注目に値する。
これは、インターネットで紹介されていることが原因の一つなのかもしれない。
(かつて多く報道された練炭による自殺もこの中に含まれるのだろう)
現時点において、マスメディアの報道がどれほどの影響があるのかは分からない。
しかも、報道を規制することは表現の自由の問題があり、安易に行うべきではない。
とするならば、現状と同様、自主的な取り組みに期待すべきであろう。
ただ、どのような報道をすることでどのような悪影響が生じうるのかを徹底するための
助言・広報活動を積極的に行い、記者に対する勉強会、
国民(NPO団体等)が不適切な報道を行った場合に指摘する、
その指摘を国がマスメディアに伝えるといったことを行うことを考えても良いのではないかと考える。
また、インターネットにおける規制について、自殺白書で指摘されている ように、
フィルタリングや違法有害情報の削除を行っていくことが重要であろう。
一つ疑問なのは、自殺の具体的な方法についての情報は明らかに有害であり、
容易に検索可能であるのに、削除がなされていない点だ。
いたちごっこになるのかもしれないが、地下に潜れば情報の入手が困難となり、
接することの出来る人数が減少し、具体的な自殺の方法についての情報に
接する人の数が減少、結果として自殺を防ぐことが出来ると思うのだが、
どうして行われていないのか。
自殺相談サイトに誘導しやすくするなどの対策を取っている、
相談が出来る場は必要であるとの指摘は最もであるが、
サイトの削除を行った上で、そのような場を提供すれば良いのではないのだろうか。
とはいえ、警察権力の行使は出来るだけ最小限で、萎縮効果が生じないようにすることには
強く留意しなくてはならない。
****
この問題に関心を持った方は、
自殺予防総合対策センター などを参照し、自分なりに出来ること考えて頂ければと思う。
今回の硫化水素の件についても、メッセージが書いてある。
毎日新聞 によると、硫化水素による自殺の概況は以下の通りだ。
硫化水素自殺は、
1月ごろからインターネットの掲示板で手口が紹介されるようになった。
3月ごろから自殺件数が増え、メディアも大きく扱うようになった。
4月に入って激増し、中旬以降はほぼ連日発生。
3月以降に少なくとも39件47人が死亡した。
国としても、自殺対策の重要性を鑑み、自殺対策基本法 が制定され、
自殺総合対策会議が自殺総合対策大綱 を作成している。
この中で注目したいのが、マスメディアの報道と自殺の関係だ。
毎日新聞の記事で触れられているように、
「報道が自殺の連鎖を誘発する場合がある」。
大綱においても、マスメディアに自殺を誘発するような報道を避けるよう、自主的な取り組みを求め(5頁)、
国としても、WHOの自殺予防の手引きのうち、「マスメディアの手引き」の部分の周知を図っている(16頁)。
今回の一連の硫化水素による報道はどうであろうか。
今回の特色としては、インターネットで検索すると容易に具体的な方法が、
詳細かつ分かりやすく説明されており、それをみて自殺に及ぶというケースがほとんどになっている。
マスメディアの報道が、今回自殺が頻発する主因となっているわけではなさそうだ。
かといって、今回マスメディアの報道が適切であるかを考えてみると、疑わしい。
自殺白書によると、マスメディアの報道に対して期待するものとしては、
問題を抱えたときの解決方法について報道する 46.7%
悩み事の相談先に関する情報を提供する 52.3%
自殺のサインや対応方法に関する情報を提供する 35.8%
(以下略) 出典:自殺予防対策に関する意識調査
となっている。今回の一連の報道では、各地で硫化水素による自殺が相次いでいる
との事実についての報道がメインとなっている。
各種有識者のコメントにより、解決方法や対策についての記述はあるものの、
速報性や中立性、他報道とのバランスが求められているためか、
自殺問題を解決するために根本的にどうしたらよいかまで踏み込んだ分析まではさほど見られない。
このような現状において、硫化水素による自殺が報道されることの意味はどれほどあるのだろうか。
報道を通じて、注意喚起がなされ、世論の後押しを受けて対策が進む、
身近な人が硫化水素による自殺を行おうとしたときに、その兆候に気づきやすいというメリットがあるだろう。
今回のようなケースであれば、異臭がしたときに、自殺かもしれないと気づくとともに、
自らの身体に被害が無いように注意することも可能となろう。
一方で、報道が行われることにより、これまで自殺を考えていなかった人が自殺を考え、
また、その方法で自殺を容易に行うことが出来ると考えるキッカケとなりうる。
現在だけでなく、将来的に自殺をするときの方法としての選択肢が増えることになる。
もっとも容易に行える方法としては、縊死だそうだ。(『完全自殺マニュアル』にその旨の記載があるらしい)
実際、手段別の自殺方法では、縊死が6割を超えている 。
自殺方法で、ガスによる割合も増えていることは注目に値する。
これは、インターネットで紹介されていることが原因の一つなのかもしれない。
(かつて多く報道された練炭による自殺もこの中に含まれるのだろう)
現時点において、マスメディアの報道がどれほどの影響があるのかは分からない。
しかも、報道を規制することは表現の自由の問題があり、安易に行うべきではない。
とするならば、現状と同様、自主的な取り組みに期待すべきであろう。
ただ、どのような報道をすることでどのような悪影響が生じうるのかを徹底するための
助言・広報活動を積極的に行い、記者に対する勉強会、
国民(NPO団体等)が不適切な報道を行った場合に指摘する、
その指摘を国がマスメディアに伝えるといったことを行うことを考えても良いのではないかと考える。
また、インターネットにおける規制について、自殺白書で指摘されている ように、
フィルタリングや違法有害情報の削除を行っていくことが重要であろう。
一つ疑問なのは、自殺の具体的な方法についての情報は明らかに有害であり、
容易に検索可能であるのに、削除がなされていない点だ。
いたちごっこになるのかもしれないが、地下に潜れば情報の入手が困難となり、
接することの出来る人数が減少し、具体的な自殺の方法についての情報に
接する人の数が減少、結果として自殺を防ぐことが出来ると思うのだが、
どうして行われていないのか。
自殺相談サイトに誘導しやすくするなどの対策を取っている、
相談が出来る場は必要であるとの指摘は最もであるが、
サイトの削除を行った上で、そのような場を提供すれば良いのではないのだろうか。
とはいえ、警察権力の行使は出来るだけ最小限で、萎縮効果が生じないようにすることには
強く留意しなくてはならない。
****
この問題に関心を持った方は、
自殺予防総合対策センター などを参照し、自分なりに出来ること考えて頂ければと思う。
今回の硫化水素の件についても、メッセージが書いてある。