オールドファッションでいこう! | 35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

35歳年上の夫は師匠でエイリアン! 

【夫】台湾人 × 【妻】日本人

国際結婚? いえ、惑際結婚ですから!

気がつけば2男1女。

あの男を見ていると、とても同じ人類だとは思えない。
漢方薬を水なしで飲めるなんて
一体どんな味覚をしてるんだ、あのおっさんは。

先日、ミスドでのこと。
その日は100円セールの日で、普段よりも少し込み合っていた。

次が私の番というところで、年配のおばちゃんがスッと私の横に並んだ。
割り込みだ。

私はムッとした。




「一体なんだ、このおばちゃんは。」




いや、正直に言おう。




「一体なんだ、このババアは!」 




と心の中で毒づいた。

並んでるのが見えないの?
早く注文して早く会計すませて、さっさと帰りたいのは誰でも同じなんだけど。



こう言おうかとも考えた。




「すみません。私が先に並んでたんですけど...」




でもやめた。

見たところ、私よりも30年は長く生きてきた人だ。
自分がしてることはわかってるはずだ。

どうやら1分1秒でも早くドーナツを買いたいと思ってるらしい。

私は別に急いでどこかに行くわけじゃないし、
トイレに行きたくて真っ青になってるわけでもない。



このおばちゃんが先にドーナツ買ったって、きっと5分も変わらないじゃない?
ここは黙って譲ろう。



そう思ったから、思った通りにした。


実際、おばちゃんが注文してドーナツを受け取るまでに
かかった時間は、せいぜい2~3分。


ドーナツの袋を持ったおばちゃんが帰ろうとした瞬間。



ああ。黙って譲って良かった!



と、心底思わずにいられないことが目の前で起こった。



隣りに並んだ時には気が付かなかったが、
どうやら、そのおばちゃんは足が不自由らしかった。

歩き方が、ゆっくりでぎこちない。痛みもあるのかもしれない。




それならそうと言ってくれれば、喜んで譲ったのに...




と一瞬私は思った。


でも。
これは私の推測に過ぎないけれど、そのおばちゃんにしてみたら、





「私は具合が良くないので、順番を譲ってください。」




なんて、とても言いにくいだろうと思う。



もしかしたら、そのおばちゃんにはそんな考えは一切なくて、
ただ単に、誰に何と思われようが気にならず、
割り込んででも早く用を済ませたい、という人だったのかもしれないが。


その後、100円のオールドファッションハニーを買って満足した私は、
今度は同じ建物の中にあるスーパーのレジに並んだ。

その日は全品5%OFFの日で、レジはいつもよりもかなり込み合う。

牛乳一本を持ってレジに並んで程なくのこと。

私の前にいた人が、 




「あ、買い忘れした!」




と言って列を離れた。

そして、立ち去り際に私の方を見てニコッと笑った。




これは偶然か...?





私が先に並んでたから、私が先にドーナツを買うのは当然だ。

自分でもその通りだと思う。正論だろう。

でも、人間が人生を生きていく中では、
正論だけがすべてじゃないんだろうと思う。




ここまで書いて思い出した。
あの本の、あのくだり。


『フジ子・ヘミング 魂のピアニスト』の中にあった、
“ある不思議な夕方” というお話。


フジ子・ヘミングは今でこそ有名な人だが、
これは彼女がドイツで苦しい生活をしていた頃のこと。

銀行でその日の分のお金を下ろし、買い物を終え、
衣料品店の前を通った時、ふいにセーターを買いたくなった。

気に入ったセーターを見つけた彼女は値段を見てみる。
手持ちのお金がもうなくなっているのはわかった。

でも、やっぱり欲しい。かといって、もう一度銀行に戻るのも...




「明日取りに来るから。」



こう言って、取り置きしてもらうことにした。


店を出ると、薄汚れた服を着たジプシーの子が寄ってきて、
手を差し出して言った。




「お金...ちょうだい。」




何だかとてもかわいそうになってしまった彼女は、こう言った。





「お金、今、無いのよ。銀行へ行ってくるからついてきなさい。」




セーターのためには銀行へ戻らなかったのに。
彼女は引き出した20マルクをジプシーの子に渡した。


次の日。衣料品店でセーターを受け取ったときのこと。



「おいくら。」



「ちょうど20マルクだよ」




昨日値札を見た時は、確か40マルクだった。



「20マルクね」



「そうだよ」




彼女は嬉しくなって店を出た。


フジ子・ヘミングの話と私のとでは全く次元が違う。
彼女の話は遥かに高次元だ。

ただ、もし2つの話に共通点があるとすれば、
それは彼女も私も嬉しくなって店を出た、というところだろう。





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