通常、モカ(直下式エスプレッソ)のマニュアルでは、“スープンで平らにする。”と記載されてはいるが、タンピング(粉を押し固める作業)を行うとは記載されていない。
もし、タンピングを行わずに密度が薄かったり、密度の不均一な粉の層の状態で抽出を行うと、
 o 粘性が低く、苦みばかりを感じる時がある。
 o コーヒーの味がしっかり出来ない。
 o 5g/cupの粉がバスケットに入りきらない場合がある。
などの症状が出る。
 そもそもタンピングを行う趣旨は、コーヒー層に加圧したお湯を噴射させた時、お湯が通る筋を作らない様にする為。要は粉の層全体にお湯を通過させ平均的に成分を摘出する事にある。
その一方、ボイラー圧によってお湯を噴射させるモカの場合は、タンピングを行うとお湯が粉の層を通過する際に抵抗が増しボイラー内圧が過上昇する。その事によって、お湯の温度は最高(安全弁が開く2気圧が掛かった場合)で約120℃にまで達する可能性が出る。高温抽出ではコゲ臭・味や酸化を引き起こす。
エスプレッソマシンとの差はここにあり、マシンではボイラー圧でお湯を噴出させる訳ではない。ボイラーとは別に電磁ポンプを内蔵し、コーヒーに噴射する圧はここで加える。
 また、モカは、モデルによってタンピングを行うとボイラー圧が急上昇してしまうタイプがある。このタイプでは抽出液(コーヒー)に多量の粉が混入する事が良くある。(このモデルではメッシュを粗くするか、タンピング圧を弱めなければならない。)
 このようにモデルによって、強めにタンピングした方がよい場合・軽く表面をならす程度にした方が良い場合もあるが、タンパーでタンピングは行った方がよい。
 ライトなコーヒーが趣向の人は、この器具を使う意味を持たず、ドリップなどの抽出の方がより嗜好に添える。
 余談ではあるが、ターキッシュ(トルココーヒー)はジャズベ(フタ付きのイブリック)を使い、水から大凡3回沸騰させて抽出する。この抽出方法では必ず高温抽出となる。
ターキッシュでも美味しいコーヒーが淹れられないわけではない。しかし、この抽出方法で使用できる豆は限定される。