小説です

 

ガゼルの風(魔法使いの弟子①)
 
ガゼルの風(魔法使いの弟子②)

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ガゼルの風(ガゼルの黄金の足)
 
作者 キラミラ
 
 
会場内にラッパの音が鳴り響き
大砲の音と同時に紙吹雪が空に舞う
 
見上げる空は
一色のコバルトブルーの絵の具を 塗りたくったような快晴だ
 
『魔法カーニバル』
の最終種目は
 
本日の目玉とばかりに
聴衆の皆は 興奮している
 
それは
いつも 無表情で
感情をあまり出さない王族関係者も
本日は解禁しました とばかりに
浮足立つ
冒険心を刺激されるのだろう
 
 
次世代のホープと名高い
イーサレエが
スタート位置にたつと
 
その大歓声で
隣の人の声が聴こえないほどの
大きな声援が飛んだ
 
 
今年は16人の若者が参加して
18歳になったばかりのイーサレエは このレースの最年少で出場する
 
数々の魔法の学位を最年少主席で卒業した
そして 技術面でも 卓越した才能を発揮する
 
皆は 彼のことを
生まれながらの天才と 呼んでいた
 
 
ただ
妹のイーリアと 乳兄弟のアンジオール姫だけは
彼が
寝る暇も惜しんで勉学に励み、
何度も怪我をしながらも 魔法技術を習得していった
 
並々ならぬ努力を
陰ながらおこなってきたことを 知っているために
 
軽々しく
「天才だから」で収められないものを もっていた
 
 
アンジオール姫は
王族席の 一番後ろの 隅っこに座っていた。
 
両手に、額をつけて祈るしぐさに
『無事に帰ってきて』と
小さな事とは知りながら
自分ができる精一杯の事を 
全身全霊で 祈っていた
 
 
 
このレース内容は
三里の道を テレポーテーション(瞬間移動)しながら
龍火山中央に入って
龍珠と言われる 手のひらほどの 水晶を持ち帰り
一位を競っていく
 
竜玉が何個あるのかも知らされていないために
大変な思いをして 行ったところで
珠が もうなかったということもある
 
上位で折り返し地点を通過していないと難しいということだ
 
その珠を守るのは
龍火山の番人と呼ばれる
火狼一族に一任されていて
 
何年か前には
レース参加者に適任者なし!の判断で
珠がおかれなかったこともあったほど
どんでん返しの結末もあった
 
その道中もまた 難所をいくつもも通るために
毎年
けが人が続出している
 
アンジオール姫が
イーサレエに無事に帰ってきて という願うのは
 
無茶をすると
命を落としかねない難関なレースだと知っているからだ
 
この最終レースは
才能、天運、人格を兼ね揃えていないと 難しいのがわかる
 
迫力の大パノラマ映像を 音声つきガイドの実況中継

それを どの席からでも天空モニターから360度真正面で

一部始終 観衆はみられるのだから
 
興奮しない人はいないだろう
 
 
アンジオール姫は
1時間前に
イーサレエと会っていた
 
イーサレエにあまり無茶な行動は取らないようにと
釘をさしていた
 
あまり言葉を交わすことなく
ただ
見つめ合う
その目がすべてを 語っていた
 
すがるような目を
イーサレエに向けて
「ご無事な姿でのお帰りをお待ちしています」
しぼりだす声に 立ち去ろうとした時
 
イーサレエが
ぐいっと 腕をつかんで
引き戻す
 
目と目が 数センチまで近づく
耳元で
「大会が終わった後に あなたに贈り物があります。
私が指差した方をみてください」
 
そして
さっと姿を消した
 
ずっと
イーサレエの甘い声が残っている
 
その言葉は
頭の中でまるで和音が重なるように
響いていた
 
隣の客席では
乳姉妹の イーリアは
 
「兄上!がんばれ!」と 天空モニターに向かって 叫んでいる
 
アンジオールは
その勇壮なイーサレエの姿をチラリともみることなく
ずっと
頭をもたげて祈っていた
 
英雄にならなくていいのです
ナンバーワンにならなくてもいいのです
あなたのご無事のお帰りをお待ちしています
 
・・・
・・・
 
 
歓声が一際(ひときわ)大きくなって
我に帰る
どれくらいたったのだろう
時計の針は二回りは進んでいる
 
ゴールテープをきった若者が どんどん 大きくなって近づいてくる
 
見上げると
一角獣の背中にまたがったイーサレエが 
ダントツ一位で優勝していた
 
イーサレエのガッツポーズに
民衆は立ち上がり その場で踊りだす人もいる
 
華があるというのは
イーサレエのような人をいうのだろう
 
顔立ちも整って 爽やかな物腰
ずば抜けての才分にも おごることなく謙虚である
誰にでも愛される人柄に
 
王宮外でも
女性の人気を独り占めしていた
 
 
優勝者に 王が
労いの言葉をかけていく
「何か 欲しいものはないか?」
 
目の前には キラキラした宝石や金銀の装飾品が並んでいる
 
今回の素晴らしいレース展開は
まさに 芸術をみているようだった
王自ら その褒美として 何かを贈りたいと思ったのだろう
 
イーサレエの
得意な テレポーテーションは
『ガゼルの黄金の右足』と 言われている
 
昔ガゼルという角を持っていた動物がいた
『ラゴン国』が 他の国との戦いで 負けそうになっていたところ
黄金のガゼルが 目の前に現れて
勝利に導いたという伝説が残っている
 
神格化したガゼルのような 脚力を持っているといわれている
イーサレエのテレポーテーション
 
足裏にチャクラの一点を 集中させて 爆発的なエネルギーを 圧力をかけていく。
その 微細なエネルギー調整が
長い距離のテレポーテーションを可能にさせている
 
イーサレエはラムズ国王に向かって
言葉を 選びながら
「できましたら・・・
アンジオール姫が16歳になられたら
我が妻として 迎えたいのです」
 
と ハッキリとお願いする
 
その言葉に
場内の女たちのどよめきと悲鳴があちこちで 聞こえてくる
 
「アンジオール姫を妻に 迎えられたら
誠心誠意 王族の皆様のサポートをさせていただきます」
 
魔法使いは次元を飛んでいけるので
優秀な魔法使いほど
時空を飛んだ先の国で この国よりも良い条件で 召し抱えられることがある。
王国は どれだけ たくさんの才能豊かな魔法使いを持てるかで
他国とのパワーバランスが保たれている
 
 
王は
しばし沈黙した後
「この話は また王宮で 話すとしよう
お前の悪いようにはしない」
 
と言われて 席をたたれた
 
閉会式が終わり
 
ザワザワと会場を後に残ったのは
アンジオール姫とイーサレエの二人だけ
 
ジェスチャーで
イーサレエは ダンスを踊る前の挨拶のようにかしづいてみせた

 

イーサレエは天空に 飛翔し
空に魔法をかけた
 
 
天空に 呪文をかけた
 
 
辺りが真っ暗になった瞬間
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(画像お借りしました)

 

太陽と月が重なる
 
金環日食と言われる
その姿は
 
まるで
 
プラチナのように白く輝く指輪のようだった
 
その月の指輪を ポンと
空から
 
アンジオールの指に飛ばしていく
 
それは
実物でない指輪
ただの幻想にすぎないものであっても
幼い二人には
大切な儀式に感じるものだった
 
近づくこともない
言葉を交わすこともない
 
ただ 二人は目と目をみるだけで
わかった
その思いが
相手も同じものを 持っているのだと
 
 
妹のイーリアが
会場の隅に隠れていたわけでもないが
 
二人の良いムードに
今さら出られなくなったバツの悪さに
最終的に
隠れずにはいられない
見つからないように ハラハラして
見守っていた
 
二人の儀式が終わったのを 見届けてから
ほっとして
イーリアが 立ち上がった瞬間
誰かいることに気づいて
サッと隠れた
 
『あっ!!あの きのこ頭は
ガトソン王子!』
 
なんだか 嫌な感覚になってきた
不吉な予感が 押し寄せてくるのを
 
払拭するかのように
大丈夫大丈夫!と自分にまじないをかけるように 呟いた
 
つづく
 
 
この小説は
私のオリジナルですので
真似しないでね
ウインク
 
 
 
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