3連休も今日が最終日。ここのところ休日出勤続きだったので、この連休でしっかり身体を休められたのはよかったです。

今日は久々の新国立劇場。去年の《トリスタン》以来です。


☆リチャード・アームストロング/東京フィルハーモニー交響楽団@新国立劇場
・ブリテン:歌劇《ピーター・グライムズ》(ウィリー・デッカー演出)


〇キャスト
ピーター・グライムズ…スチュアート・スケルトン
エレン・オーフォード…スーザン・グリットン
バルストロード船長…ジョナサン・サマーズ
アーンティ…キャサリン・ウィン=ロジャース
姪1…鵜木絵里
姪2…平井香織
ボブ・ボウルズ…糸賀修平
スワロー…久保和範
セドリー夫人…加納悦子
ホレース・アダムス…望月哲也
ネッド・キーン…古川健一
ホブソン…大澤建
合唱…新国立劇場合唱団


このウィリー・デッカーのプロダクションはベルギーのモネ劇場で製作され、イギリスのロイヤル・オペラでも上演されたもの。モネ劇場といえば大野和士が活躍した歴史ある歌劇場ですね。

事前に予習してから行きたかったのですがCDが輸入盤しか買えなかったので、音楽だけ聴いてストーリーはあらすじ程度の理解で臨みましたが、このオペラは初見でもその世界観にぐいぐいと引き込んでいく力を持っています。
東京フィルは立ち上がり若干不安定な箇所もありましたが、総じて高い水準で、登場人物の心情の変化や物語の展開に合わせて深い表現を聴かせてくれました。指揮がイギリス音楽に造詣が深いアームストロングということもあってか、ブリテンの悲劇的な音楽を手中に収めていたように聴こえました。
歌手陣はタイトル・ロールのスケルトン、エレン役のグリットンがやはり別格の働き。救いのないこのオペラの中で徐々に追い詰められていく男女の心情を微細に歌い上げ、歌手としても役者としても素晴らしいものを披露してくれたと思います。新国立劇場の合唱団も相変わらず安定していてしっかりと物語を支えていました。

演出は終始曇天の海岸をイメージさせる風景がスクリーンに投影されていて、村の閉塞感や陰鬱とした雰囲気をうまく伝え、村民の多くに同色・同デザインの衣装を着せることで没個性を表していたように感じました。ピーター・グライムズを悪人と決めつけ、まるでお祭りのように騒ぎ立て無責任に追い込んでいく没個性の村民の様はまさに衆愚。無意味に過剰な舞台装置や表現もなく、人間の本質や感情に重きを置いた素敵な演出でした。3幕ラストの演出はエレンやバルストロード船長でさえも結局はその他大勢の短絡的かつ無責任な村民と変わらないということを伝えたかったのでしょうか。良い意味でショッキングな終わり方でした。


このオペラ、本当に救いのないストーリーなのですが、どことなく《ヴォツェック》に似ている気もして好みの系統です。取り上げているテーマとしても普遍的なもので、いつの時代にも共通する問題が含まれていて、きっと今後も貴重な作品として後世まで残っていく作品であるはずです。上演機会がもっと増えることを願っています。