1970~80年代に流行した『シティポップ』。

商業的意図で生まれた言葉のために具体的な線引きは曖昧ですが、一般的には「都会的な雰囲気を持つ、洗練されたポップス」が該当します。

山下達郎、大瀧詠一、寺尾聡、松任谷由実、大貫妙子、杉山清貴、稲垣潤一(敬称略)など……たくさんのアーティストがその時代を彩られてこられました。

サブスクが主流になった今、若い方にも聞かれる機会が増えて現代のシティポップも生まれています。

 

私はそんなシティポップがめちゃくちゃ好きです。

その中から、稲垣潤一さんにフォーカスを置いて、1枚アルバムをご紹介したいと思います。


 

『稲垣潤一』というシンガーを知るならこれ。

 

 

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『REALISTIC』

1986年 3月1日発売

 

稲垣潤一 6枚目のオリジナルアルバム。

彼が初めてオリコン週間1位を取った作品でもあります。

重実博さんと共同で、初のセルフプロデュース。

編曲にTOPICS(稲垣さんのツアーバンド)が関わったのもここから。

 

これまで彼の声を生かした内気なサウンドが多かった中、こちらのアルバムは比較的明るめ。

秋元康氏を筆頭に、数々の作詞・作曲・編曲家が関わられており

その時代のシティポップがぎゅっと詰まった名盤です。

 

早速、収録曲について簡単ですが紹介。

 

1.UP TO YOU

作詞:秋元康 作曲:稲垣潤一 編曲:TOPICS

こちらは数少ない稲垣さんご自身の作曲。

アルバムの1曲目にぴったりなアップテンポな曲。

稲垣さんのハイトーンなお声が伸びています。

きっとこの後別れを選ぶと思われる二人が描かれる歌詞。


 

2.1ダースの言い訳

作詞:秋元康 作曲:林哲司 編曲:萩田光雄

10thシングル(両A面)。

ドラムの音が目立つ、こちらもアップテンポな曲。

喧嘩をしたカップルのちょっとしたワンシーンが描かれており、

情景の浮かびやすさはさすが秋元氏。


 

3.A Glass Of The Sorrow

作詞:売野雅勇 作曲・編曲:林哲司

高いホテルのバーで流れている様子がめちゃくちゃ似合うミディアムバラード。

これまでの稲垣潤一さんの楽曲に合った、内気なAOR。

ところどころ林哲司さんの編曲が光る。


 

4.April

作詞:秋元康 作曲:木戸やすひろ 編曲:大村雅朗

10thシングル(両A面)。

春は出逢いの季節でもありますが、別れの季節でもある。

恋人が別れを選択し出ていく姿を見送る、比較的アップテンポな曲。

最後のサビで転調するのがいい。


 

5.ビコーズ・オブ・ユー

作詞:安井かずみ 作曲:加藤和彦 編曲:TOPICS

加藤夫妻が手がけた、『君』のために本気になる男性目線のミディアムナンバー。

「ボクサー、フィクサー、レーサー」の語呂合わせが気持ちいいのとサビのとてつもない高音が美しい。


 

6.愛のスーパー・マジック

作詞:安井かずみ 作曲:加藤和彦 編曲:TOPICS

こちらも加藤夫妻が手がけたミディアムバラード。

シングル曲がかなり強いこのアルバムですが、この曲はぜひ聴いてほしいおすすめ曲です!

終始聴こえる耳障りのいいコンガと、間奏のオルガンの音色が聴いていて気持ちいい。


 

7.彷徨える街

作詞:松本一起 作曲:松田良 編曲:TOPICS

イントロのギターリフが冴えるロックナンバー。バンドサウンドが強めですが、コテコテのシティポップ聴きたい! と思うならこちら。

サビの「俺さ」で伸びる稲垣さんの声がとっても気持ちいい。


 

8.バチェラー・ガール

作詞:松本隆 作曲:大瀧詠一 編曲:井上鑑

9thシングル。

歌詞通り土砂降りの雨に打たれている気分になるアレンジの別れの歌。大瀧詠一さんご自身のセルフカバーも有名ですね。

シングル版とアルバム版でアレンジが異なっており、こちらはバンドサウンドが強め。稲垣さんのボーカルも録り直しています。

大瀧詠一サウンドがしびれる!


 

9.風になりたい夜

作詞:さがらよしあき 作曲:伊豆田洋之 編曲:TOPICS

アルバムを締めくくる、静かでちょっぴりアダルティなバラード。

1stアルバム『246:3AM』の頃の雰囲気をふんわりと纏っていて、濡れた声が染み渡ります。




以上、『REALISTIC』の紹介でした。

稲垣潤一さんをあまり知らないけど何か聴いてみたいな、という方にはとてもおすすめできるアルバムです。

今も全国を飛び回ってコンサートをされておりますので、ご興味があればコンサートもぜひ!

扇子やタオルがぶん回される様子は圧巻です。

00年代以降のマッキーは、ご自身の経験もあってか私小説的な『ラブソング』から『ライフソング』へとシフトしていきました。

SMAPに提供された『世界に一つだけの花』が特に有名になりましたが、彼が作るライフソングはちょっとした日常を切り取ったものから、人生そのものに向き合った作品まで数々。

 

2004年に東芝EMIに移籍し、その間に発表された2作品は特にそんな『ライフソング』が目立っているなあと感じます。

日常に、そっと寄り添っているような。

その2作のうちから、あとに発売された下記をご紹介。

 

 

関西の下町気分を味わえる、ライフアルバム。

 

 

初回盤 / 通常盤

 

 

 

 

『LIFE IN DOWNTOWN』

2006年 2月22日発売

 

槇原敬之 14枚目のオリジナルアルバム。

タイトルがそのまんま『下町の暮らし』ですね。

マッキーが幼少期に暮らしていた大阪府高槻市と、ご親族が暮らしていた兵庫県尼崎市の雰囲気を感じる、人情溢れたアルバムです。 

 

早速、収録曲について簡単ですが紹介。

 

 

1.いつでも帰っておいで

 

めちゃくちゃ軽快なサウンドで始まる、まさに下町の歌!

初っ端から「生きていたのかよ」って言われてるおばあさんがいる、下町感マシマシなのがいい。

こんな町はたくさんだ! と出ていった人のことを歌っています。いつでも帰っておいでというフレーズが、人情溢れていて温かい。

アルバムの1曲目にめちゃくちゃ合っていて、これからこの町の暮らしを体験するぞ! となれるような歌。

 

 

2.Naked

 

クールなイントロから始まる、ロックナンバー。

タイトルは『裸』という意味です。

心に纏う鎧を取り去って、ありのままの心で接そうといったメッセージが込められています。

メロディ、アレンジがバッチバチにカッコいい!!

 

 

3.ほんの少しだけ feat. KURO from HOME MADE 家族

 

35枚目のシングル。

HOME MADE 家族のKUROさんとコラボされています。

幼馴染(?)と縁日に行った昔の出来事と、それを振り返る今の二人が描かれた、優しいラブソングでありライフソング。

マッキーがラップを歌う貴重な曲でもあります。 

 

 

4.星の光

 

めちゃくちゃエフェクトかかりまくった声(?)から始まるバラード。星空を見上げながら出会えたことに感謝し、自分たちだけでなくみんな幸せになろう、と歌っています。

曲の説明から外れて申し訳ありませんが、2015年のcELEBRATIONのテーマがこの曲でした。オーケストラアレンジのこの曲は必聴です。

 

 

5.ゥンチャカ

 

 34枚目のシングルc/w。

日テレのイベントのテーマソングでした。

軽やかで一緒に踊りたくなるメロディから、歌詞はメッセージ性が割と強め。

花火と爆弾は同じものでできている。世界で戦争が未だに続いているこの2026年、人を悲しませる爆弾なんかより、笑顔になれる花火をもっと見たいよなぁ。

ライブでは振付があり、一緒に踊れます。さぁ一緒に踊ろう!

 

 

6.月の石

 

人の手で採取されてどこかに飾られている月の石のことを思う主人公の心が書かれた、壮大なバラード。

太陽の光の力を受けて輝く月が、地球に持ち帰られて道を照らすことができなくなっても、物言わぬままそこにある。いつか輝ける場所に返してあげたい、と歌っています。

ピアノの音が響く1番から、日本の昔ながらの音楽を思い起こすようなアレンジへと変化していくのが特徴的。

 

 

7.親指を隠さずに

 

今はどうかわかりませんが、私が幼い頃は霊柩車を見かけると親指を隠せ、と言われて育ちました。

この曲はその迷信に触れています。親指を隠すより、手を合わせてあげたい、そう感じさせられるメッセージソング。

マッキーの作品で、露骨に人の死に触れたのはこの曲が最初かも。身近な人の死がきっかけになって生まれたSuch a Lovely Place(1997年)はありますが、その曲では露骨に死には触れていないので……

 

 

8.店じまい

 

ああ、神様というエフェクトの入った声から始まり、ドン! と銃のような音が入る衝撃的なイントロ。

銃を扱う店を営む主人公が、息子と同じくらいの子が凶弾に倒れゆく姿をテレビで見てしまったことにより、店を畳むことを決意する歌。(歌詞そのまんまですが)

割とノリのいいメロディ、アレンジながら、その歌詞はかなりメッセージ性が強め。

昨今のこともあり、考えさせられます。

 

 

9.明けない夜が来ることはない(ALBUM VERSION)

 

33枚目のシングル。

アルバム収録にあたりリアレンジされています。

シングル版、アルバム版共に、1番は本当に暗い世界にいるような雰囲気から、2番にかけてぱっと光が差し込んでくるようなアレンジになっています。

アルバム版のほうがバンド感強め。

余談ですが、TREASUarenaTOURでこちらのアレンジにて披露されました。

 

 

10.チキンライス

 

浜田雅功と槇原敬之 名義で2004年に発売された同曲のセルフカバー。作詞はダウンタウン松本人志氏。

正直、こんなにあったかいクリスマスソングはないんじゃないかな。という恋愛要素ゼロのクリスマスソング。

松本人志氏の幼少期の体験がそのまま歌詞になっています。完成した歌詞を見たマッキーが号泣していたことは割と有名。

最後の『チキンライス"が"いいや』のところがほんとにいいですよね。 個人的には『すっぱい湯気が⸺』のところも好きです。ここはマッキーが加筆したのかなぁ。

 

 

11.尼崎の夜空を見上げて

 

マッキーの幼少期を追体験できる歌。歌詞に出てくる『従兄弟』は、恐らくROLLYさんでしょう。

昭和40~50年代の日常って、こんな感じだったんだろうなぁ。体験してみたかったなあって聴くたびに思います。

『いつでも帰っておいで』と同じくらい下町の雰囲気をマシマシと感じられる、あったかい曲。

 

 

12.ココロノコンパス(ALBUM VERSION)

 

34枚目のシングル。

アルバム収録にあたりリアレンジされています。ちょっとイントロが長くなってます。

マッキーの曲の中でも真っ直ぐに突き刺さる、明るい応援ソング。『超えろ。』と同じくらい勇気をもらえます。

 

 

※下記2作品は、初回限定盤にのみ収録されています。

 

13.遠く遠く〜'06ヴァージョン

 

1992年発表『遠く遠く』のリアレンジ&セルフカバー。

携帯が普及したこの時代に合わせたアレンジになっていて、イントロ部分が電子音になっていたり打ち込みが多め。

原曲が上京したばかりの雰囲気だとしたら、'06ヴァージョンは10年以上経って、その当時を振り返っているような感じがします。

マッキーの声が92年当時と変化していることもあり、聴き比べてみると面白いです。

 

 

14.WHAT A WONDERFUL WORLD

 

ルイ・アームストロングの同曲のカバー。

あちらこちらでカバーされている超有名な曲です。

マッキーの英語の発音の良さがめちゃくちゃよく分かる。

 

 

 

以上、『LIFE IN DOWNTOWN』の紹介でした。

メッセージ性の強い楽曲がちらほらと見受けられるため若干人を選ぶかもしれませんが、アルバム全体を通して伝わる雰囲気は、まさに下町。メロディ、アレンジはマッキーの真骨頂が全面に発揮されています。

このアルバムを聴きながら散歩をすれば、どこかから大阪のおばちゃんがふらっと現れそうです。

2024年10月25日、槇原敬之さんはデビューしてから満34周年を迎えられ、35周年イヤーに突入しました。

そして35周年イヤー期間内に、数々のコンサートを企画し、走りきられました。

 

そんな35周年イヤー企画第1弾だったのが、2024年11月~12月に行われた『マキハラボ』。

 

当初は映像化も音源化もされず、幻のコンサートとなってしまう予定でした。

ですが、公演数がかなり限られており参加できなかった方も多かったこと、そして参加された方からの映像化・音源化を望む声が多くあり、1年経った2025年11月26日に、ついに配信が実現!!

配信の発表があった日の興奮は忘れられません。

ツアーロゴ

 

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『実験』をテーマに、これまでやったことがなかったコンセプトで行われるマキハラボ。

初挑戦ということで、ピアノ、弦、パーカッション、コーラスという全て生音の編成で行われました。

 

もう、とにかく素晴らしかった。

語彙力が消滅するほどに。

 

けっこう電子音を使われることが多いので、普段聴いている曲がこんな風に変わるのか、と何度も驚かされてばかりでした。

アコースティックな編成に映える曲ばかりで、新たなマッキーワールドを見せてもらえました。

 

収録日は公表されていませんが、音源のお声の調子と参加した自身の記憶から、

恐らく12/23or24の神戸国際会館と思われます。

(結構お声の調子が悪い公演が多かったようなので……)

 

では、収録曲と編成等の簡単な説明を。

曲名の後ろにはオリジナルの発売年を記載しています。

 

 

1.冬がはじまるよ(1991)

 

冬がはじまるよ2012 のアレンジにて。ケルト調にはやっぱり弦が映える。

ピアノ・弦・パーカッション・コーラス全員編成です。

もうこのコンサートの始まりにふさわしい楽曲ですね。

鳴りやまない拍手からの「1・2、1・2・3、ハイ!」という掛け声でわくわく感増幅。

 

 

2.今年の冬(1994)

 

こちらも全員編成。

ピアノの音から始まるイントロは、耳障りがすごく良く。

普段の音源でもそうですが、こちらはより一層ストーブにあたりながら聴いているような気持ちになります。

今のマッキーの声でこの曲を聴ける! という点もGOOD。

 

 

3.ミタテ(2015)

 

ここではコーラスの皆さまがパーカッションを担当。

もう、全員絶対聴いてほしい曲個人的No.2。

1番サビから入る弦と、1番が終わってから音が広がっていく瞬間が圧巻。

 

 

4.長生きしよう(2001)

 

ここからピアノのみの編成。

生音、しかもピアノのみ。誤魔化しがきかない状況で

伸びゆくマッキーの声がとても美しいです。

 

 

5.素直(1997)

 

こちらもピアノのみ。

オリジナルがピアノ弾き語りですよね。そのオリジナルを忠実に再現。

いくつかバージョン違いがあるこの曲ですが、やっぱりシンプルなピアノ1本が一番映えると思います。

 

 

6.林檎の花(2011)

 

こちらはピアノ+コーラス(2番から)の編成。

間奏でピアノの大嵜さんが

ピアノを弾きながら鍵盤ハーモニカを吹くという離れ業を披露。

音だけ聴くとどう聴いても二人いる。一人でやってる。

 

 

7.君の名前を呼んだ後に(2003)

 

ここで再び全員編成に。

「犬の遠吠え」を意識して作られたというエピソードがあるこの曲ですが、

それを強く感じる編曲です。大サビは必聴。

 

 

8.彗星(2000)

 

全員絶対聴いてほしい曲個人的No.1。

チェロとコーラスの編成。チェロのソロ演奏から始まり、彗星のイントロへ繋がっていきます。

もう、イントロから大号泣です。この曲をセトリに入れてくださった毛利さんにただただ感謝。

 

 

9.冬のコインランドリー(2010)

 

こちらはピアノ+コーラス編成。

こちらはマッキーがどうしてもセトリに入れたかったそう。

歌い出しから心が温まるような感覚を覚えます。

 

 

10.好きになって、よかった(加藤いづみ、1993)

 

コーラスメンバーである加藤いづみさんと今井マサキさん、そしてマッキーの3人で披露。

編成はピアノ+弦。

この3人の声が重なるとこんなに綺麗なのかということに驚かされたとともに、

マッキー、普通に女性のキーで歌ってます。すごい。

 

 

11.LOVE LETTER(1996)

 

ほんっとどんなアレンジでも映えるな……!!

1番のピアノのみ→サビでコーラス→1番が終わり弦とパーカッションがプラスされて

一気に音が広がっていくのが鳥肌です。

 

 

12.彼女の恋人(1993)

 

ここまでバラードがほとんどでしたが、ここにきてアップテンポな曲。

全員編成で音の暴力。終始コンガの音がかっこいい!

原曲はブラックミュージック感が強いですが、マキハラボアレンジも圧巻。

間奏でのバイオリンソロは必聴です。

 

 

13.Hungry Spider(1999)

 

ほんっとどんなアレンジでも映えるな……!!(2回目)

こちらも全員編成。お客さんの手拍子もアクセント。(難しくてちょっとズレてるけど)

イントロのバイオリンを全員聴いてほしい。

生音のみでより幻想的な雰囲気になっているように感じます。

 

 

14.四つ葉のクローバー(2012)

 

ほんっとどんなアレンジでも映えるな……!!(3回目)

ケルト音楽なこともあって、弦が非常に映えます。

2番Bメロから入るコーラスのアクセントも良い。

 

 

15.HOME(2021)

 

マリンバがあまりにも素晴らしい。

とにかくマリンバをみんな聴いてほしい。

特に間奏のところ。

 

 

En.1 "MAKIHALAB"Christmas Medley

 

アンコールの拍手からつながるようにマリンバの音が響きます。

Silent Night〜チキンライスの2曲がメドレーに。

実は間に下記2曲が挟まっていましたが、権利の都合上カット。

The Christmas Song [Nat King Cole]

Grow-Up Christmas List [David Foster] ※日本語訳詞にて

 

Silent Nightのコーラスと合わさるハーモニーも、

ほんっとどんなアレンジでも映えるな……!!(4回目)なチキンライスも必聴です。

 

 

En.2 A HAPPY NEW YEAR(2016)

 

松任谷由実さんの楽曲をカバー。全員編成にて。

アレンジはアルバム『Believer』収録のものに合わせています。

余談ですが、12/16東京公演にて松任谷由実さんご本人がいらしていたそうで

ご本人の前でこの曲を歌われるというトンデモなことが起きておりました。

 

 

En.3 In The Snowy Site(2019)

 

私はこのコンサートに参加しておりましたが、

この曲の時、本当にステージに雪が舞っているように錯覚しました。

全員編成なのですが、マッキーの声、ピアノ、弦、パーカッション、コーラス、

すべてがホール全体に雪を降らせてくれた気がします。

 

 

 

すべてのオリジナルアルバムからまんべんなく選曲され、2024年の冬を彩った『マキハラボ』。

ちょっと寒いな、と思った日にぜひ聴いてみてください。

心の奥からぽかぽかになります。

 

まず大前提として私は槇原敬之さんのファンなので、誰かに「どの曲を聴けばいい?」と尋ねられたら

「全部とにかく聴いてくれ!!」と大声で叫びます。

だって全部いいんだもん!! みんな違ってみんな良い!!

 

ですが、そんなんじゃ分からん! どれか一つオリジナルアルバムを選んでくれ!と言われた場合、

その人が何を求めているかによって以下の3つから選んでいます。

 

一つ目は、『君は僕の宝物(1992)』

二つ目は、『Such a Lovely Place(1997)』

そして三つ目は、こちらを。

 

25年分の『槇原敬之』が詰まった、名盤。

 

 

初回盤 / 通常版

 

 

 

 

『Lovable People』

2015年 2月11日発売

 

槇原敬之 20枚目のオリジナルアルバム。

1990年にデビューした彼の、25周年記念盤でもあります。

 

 

個人的に2010年代に発売された彼のアルバムの中で、特にお勧めしたい名盤です。

90年代はラブソング、00年代はライフソングを主に制作していたマッキーですが、デビュー20周年を迎えてからはこの二つが入り混じるような作品も徐々に増えてきました。

このアルバムは、そんな『ラブソング』と『ライフソング』をぎゅっと詰めた、愛すべき人たちにフォーカスを置いた作品が12曲(+イントロダクション)収録されています。

 

ちょっと空高くから人々の様子を覗き込むような感覚を覚える、割ととっつきやすい曲が多く収録されており、「濃いラブソングは苦手……」という方にも、「ちょっと説教臭い歌詞は苦手……」という方にもお薦めできます。

全体的に優しくて心温まるマッキーワールドが広がっています。

 

 

早速、収録曲について簡単ですが紹介。

 

1.Theme for Lovable People

 

2007年発売『悲しみなんて何の役にも立たないと思っていた。』以来のイントロダクション。

これから愛すべき人々の世界を覗き込みに行く、映画やコンサートの始まりのような高揚する感情を覚えます。そして、『ミタテ』に繋がるように優しく終わる。

途中、アルバムの最後の曲『Alone』のフレーズが入っております。アルバムを最後まで聴いてからまたこのイントロダクションを聴くと、印象が変わるかも。

 

 

2.ミタテ

 

静かに終わる1.から自然と繋がる、ピアノから始まる優しいミディアムバラード。

別れた恋人に見立ててくれた心と共に今を生きている主人公が、近所の人と桜を楽しみつつかつての恋人のことを想う曲。

失恋ソングというよりは、過去を振り返るような雰囲気です。

シンプルな日常のワンシーンで始まるのが、ザ・マッキー。

 

余談ですが、2024年に開催されたコンサート『マキハラボ』版のこの曲が

とても素晴らしいのでぜひ聴いてみてください。

 

 

 

3.Life Goes On〜like nonstop music〜

 

44枚目シングル。

かつてフジテレビ系情報番組『ノンストップ!』のテーマソングでした。

今を生きる若い女性にフォーカスを当てた、ポップな応援歌。

でもただ頑張れ! と言うような歌ではなく寄り添うような歌詞です。

「心の傷もそろそろ キラキラ輝きだす頃」という歌詞が好き。

 

 

4.可愛い人

 

槇原節全開! な打ち込みサウンドの明るいポップな曲。

感情表現が豊かな可愛い『君』を肯定する歌詞で、自分を飾らないで、そのままの君が一番可愛いんだよと

『僕』が伝えてくれているような内容です。

そんな一種の応援ソングにポップなメロディが重なることで、聴いていると思わず笑顔になっちゃいます。

 

 

5.君の書く僕の名前

 

ちょっと力が抜けそうな可愛いイントロで始まる、こんなにちょっとした日常が歌になるとは?!

と思ったほどめちゃくちゃ日常のワンシーンを切り取った歌。

字を書くことが得意な『君』と、掃除が得意な『僕』の、互いの得意な技を発揮している歌詞で、しっかりフラグを回収している最後の歌詞に毎回微笑ましくなります。

 

 

6.鋭く尖った細い月

 

4,5からは一転、クールなロックナンバー。

思春期の少年にフォーカスを当て、思春期特有の陰をまとったような尖った感情を、細い月に例えています。

「だいたい何がダメな事で一体何がいい事か ノートに書き写すだけじゃ分からないだろう?」と言う歌詞が尖ってて良い。

 

 

7.新しいドア

 

44枚目のシングルのc/w。

MBSがん検診啓発キャンペーンのテーマソングとなったミディアムバラード。

家庭を持った中年男性にフォーカスを当てており、歌詞に『がん検診』というフレーズが使われています。

個人的にマッキーのCメロがめちゃくちゃ大好きなのですが、この曲のCメロは必聴。

 

 

8.Once Upon A Long Ago

 

ポール・マッカートニーが1987年に発表した曲のカバー。

このアルバムの前半と後半を繋ぐところにこの曲を採用するマッキーのセンスに、ただただ脱帽。

原曲を決して殺さず、しかしマッキーワールドに引き込むようなアレンジと、彼のとても流暢な英語が気分を高めてくれます。

 

 

9.言わせて下さい

 

イントロで度肝を抜かれる、まさかの演歌。

といってもコテコテの演歌ではなく、やはり槇原節全開です。

この曲でフォーカスが当たっているのは、我々ファン!

マッキーからの25年間応援してくれて、ありがとうと言うメッセージが詰まっています。

こちらこそありがとうなんですよ!!

 

 

10.Fall

 

45枚目のシングル。

日本テレビ系列ドラマ『きょうは会社休みます。』の主題歌でした。

ついつい踊りだしたくなるような、ダンサブルな曲です。冒頭のEDMサウンドと機械的なコーラスがゾクゾクしちゃいます!

90年代のサウンドに似た雰囲気もあり、昔の曲しか知らない方も「お?」と思うかも。

全く動きのない人生を歩んでいた主人公が、恋に落ちる姿を描いた歌。

この曲にも『ずる休み』というフレーズが使われていますが、94年発表の『ズル休み』とは全く違う理由で休んでいるのが良い。 

 

 

11.Elderflower Cordial

 

槇原敬之×ケルト音楽=最高。

サビでついつい身体が揺れてしまう。

マッキーが作るケルト音楽の、完成体と言ってもいいのではないかと思いたくなります。

異国の人との交流を描いた歌詞。曲名からイギリスにフォーカスが当たっています。

『ここが君においでよと 言える場所にしたい』と言う通りの日本であってほしいですよね、これからも。

 

 

12.君への愛の唄

 

44枚目のシングルのc/w。

ミュージカル『愛の唄を歌おう』のテーマソング。

ピアノの弾き語りで始まる、結婚式にも使われそうな愛に溢れたバラード。

タイトルそのまま、『君』へ愛を唄っています。『ぼくの一番の願いは君の幸せ』と言うフレーズが感涙。

 

 

13.Alone

 

なんと7分半という、マッキーの数々の曲の中でも最も長い曲です。

かつて異国にたった一人で降り立った男性にフォーカスを当てた、壮大な歌。

写真の『彼』が、たとえ一人でも何かを成し得られるんだと『僕』に教えてくれています。

Cメロの『困難な程向かう道が正しい証拠なんだ だって絶望は希望とかそういうのがきらいだからさ』の歌詞には鳥肌が立ちました。

あらゆる人々にフォーカスを当ててきたこのアルバムを締めくくるのに相応しすぎる歌です。

 

 

 

以上、『Lovable People』の紹介でした。

デビュー25周年を迎えた40代半ばのマッキーが作る、この時代のラブソングであり、ライフソング。

あくまで個人的ではありますが、2010年代に発表された彼のアルバムの中でもぶっちぎりの名盤であると思っています。90年代の槇原敬之は聴いたけど、最近のはあんまり知らないな。と言う方にはぜひ聴いていただきたいです。