※施術時の理想の服装について、経緯と共に書いたのですが長くなってしまいました。理想の服装は最後の方に書いてあります。
女性鍼灸師さんとの会話で施術時のお客さんの服装の話になり、
「パンイチが一番ですよね~」っという意見で一致。
鍼は身体に刺す物なので、布があればあるだけ邪魔になります。
それに身体全体&局所の様子や反応を、実はかなり細かく読み取っているので隠れている部位が多いのはかなり都合が悪く、布が多ければ多い程使えるツボとして、治療の選択肢は減っていきます。
それなのに、、、私の理想としてホームページにも載せてるのが『全身タイツ』着用。
もちろん半分冗談。上下分かれてる薄くて柔らかいポリエステルが一番。冷えるなら靴下も履いててもらった方がいい。頭部を覆う必要は、もちろん無し。
「パンイチが一番」と本音は持ちつつ、何故全身タイツが理想だなんて言っているのか。
それは私の経験上での最適解だからです。
通常の鍼灸の現場では下着着用、その上にTシャツ短パンだったり、店ごとに施術着の用意があったりしますね。
私も開業当時は施術着を用意してました。今でも何枚かまだ使ってないのが取ってある。
下着の上からバサっと羽織ってもらうポンチョタイプ。前は上から下までジッパーで開閉、肩にもジッパーがついてて拡げられる。背中側はマジックテープになってて全開出来るという施術着。
けれど、開業し施術着を使ってみてすぐに直面する事態。。。
裸を見られるのが恥ずかしい、というのは当然だ。
けど、こっちは鍼灸治療だからと感覚が麻痺していたが、そーいえば下着を見られるのだって普通は恥ずかしいんだった。
だから用意した施術着を着てもらっても、ジッパーを降ろしたりする時は結局目隠し用のタオルをバサバサかけることになったりだとか、なんなら施術着の下にシャツと短パンを着てしまう人まで現れ、逆に枚数増えてんじゃん。
っと、着替え後の姿に唖然としてしまったこともある。
この、肌を隠す為にタオルを多用したりするのって時間のロスと、危険もあるんです。
鍼ですからね。まくったシャツや押さえたタオルが別の箇所みてる間にハラリと戻り、刺さってる鍼を隠してしまったり、タオルに鍼が巻き込まれてしまうとかなり危険。
お灸なんか言わずもがな。服焦がしちゃうし。実際当時はよくタオル焦がしてました。
シャツなんか上までまくったところで肩甲骨周辺を隠してしまうし、肩と腰同時に対処したくても出来ない。肩に刺したい時なんかは襟を引っ張って拡げて、そして鍼を打つけど布が戻ってしまうからとっても危険。だから刺したままには出来ずすぐに抜鍼。
だから一時キャミソール着用をお願いしてた時期もあったかな。
けど、それもキャミソールを着てきてはくれるんだけど、キャミソール姿にはなってくれずキャミソールの上にシャツを着ている方もいて、
「え。。。また枚数増えてんじゃん。」ってこともありました。ここまでくると私の説明が下手過ぎるのでしょう。
上のシャツ脱いで欲しいというと、「え、脱がなきゃいけないんですか?キャミソールしか着てないんですけど」っと返されてしまうこともありました。
着たことない私からするとキャミソールの定義がわからず、あれ?キャミソールって一枚で外出歩くこともある服じゃないのかな?って思ったり。
いや、もちろんわかりますよ、キャミソール姿になる準備が出来てなかったとか、見せれる用のじゃなかったって事なんでしょう。
服装に関して鍼やお灸、マッサージですら私と患者さんには前提にある服装に対する溝が深すぎるんだなーということを、やればやるほど知っていきました。この辺は異性同性関係なく。
一番感じたのはそうだなぁ。
腹巻きやガードルをそのままって人は全然いますが、腰痛コルセットつけたままベッドに横になってしまう方も、両手で収まる程度の数ですがそのくらいはいました。そして腰痛を治して欲しいと。
取り忘れたのではなく、これだとさすがに治療出来ないので外して下さいね、と伝えると
「あ、取った方がいいんですか?」
という具合。
こういうことを言うと、「初めてなんだから言ってくれないとわからないだろ」っとお叱りを受けるかもしれません。服をどこまで脱いだらいいかわからない。それは当然の意見だと思います。
しかしコルセットまでつけっぱなしなのは、逆にどういう治療を受けようと思って来てくれたのか、すっごい興味が湧いてしまう。
イヤミではなく、純粋に聞いてみたかった。聞いたこともあったけど。
他に似たような事例もあり、んー。ここまで理解に開きがあるのかと、鍼灸ってものがどれだけ浸透していないものなのかを身を持って徐々に体感していきました。
治療を効率よく進める為に肌や身体はしっかり見たい。けど異性間では特に、理解を得るのに慣れや信頼の時間がかかる。
例えば私からすると腰痛治療なんかする時は仙骨、さらにお尻の筋肉もほぼマストでほぐしたいから、下着どころかお尻半分以上出してもらって鍼刺したいとこですが、
「どこまで降ろして大丈夫ですか?」みたいなやり取りがあるとお客さんの意識はもう
「自分のケツはどこまで出てるのか」に集中してしまい、リラックスとは程遠くなる。
そして大抵の場合下着を下げてもらえる高さが、刺したいツボには届いていないのだ。
この辺を逆手にとった男友達が治療に来ると、最初からパンツをモモまで下げお尻全丸出しでうつ伏せになってるので、私がそのケツを平手打ちしてからパンツを上げるというお決まりのじゃれ合いもある。
お客さんによっては腰の治療なんだから下は脱ぐ必要ない!って感覚の方もいてジーンズもベルトで締めたままなんてこともあり。単に面倒で脱いでくれない方もいるでしょうが、こちらがエロな気持ちで脱がしたがってるだけだと思われることもあるのでしょうね。
けど、逆に意識しなくて失礼なのかもしれないけど、治療中そんな事考えてる時間てマジでありません。
どこをどうやったら症状が軽くなるのか、それにはアッチも刺してコッチも刺して、次にアソコとココに。あー、でもここの布邪魔だなぁ。そんな感じ。鍼じゃなくオイルマッサージなんかも同じです。首筋から仙骨までツーっと繋げて流したいけど、ブラがあったりパンツがあったりタオルがあったり。
何度か受けてもらううちにその辺はわかってもらえるでしょうけど、わかったからといってそれで全員が全員、恥ずかしい気持ちが無くなるわけではない。
前に行った治療院ではここまで脱がなかったとか、そんな相違も起こるでしょう。けど先生によって使うツボ全然違いますからね。
となると解決策は、、、そうだ、いっそ脱いでもらわなければいいんだっ!
肌が隠れたまま、そして鍼を妨げない、負荷かからない程度の薄手の生地にそのまま刺せば解決するんじゃないか。
ということで当時色々と調べてみたら、鍼灸の学会で服の上から刺すことでの細菌感染リスクは99%以上あり得ないという発表があったことを知ったり、鍼灸師の知り合いが「マラソン中継で途中倒れた選手に服着たまま鍼刺してるのテレビでも見たことあるよ」なんて言ってるの聞いたりして、じゃぁあとは感覚の問題だけかなーと、まずは下着の上から実践をし始め、今に至ります。
もちろん最初の実験体は自分と家族からでした。
これまで何万本何十万本鍼打ってきたかわかりませんがそのことによる健康被害や、炎症すらも出てません。それは鍼屋のお客さん達が一番わかってくれていると思います。
そうはいっても衛生面から見て褒められた行為ではないでしょう。実際のところ服の上から刺したって繊維の隙間を新品の鍼が通り抜けるだけなので汚いはずはないのですが。
問題が起きないのなら私はそれより優先する安全面や治療効率と効果を取ろうと思い、今の形になりました。
もちろん自分や店舗の消毒はきちんとしてるし、洗濯や掃除の頻度も他の店よりずっと高いはず。スリッパを置かないのも、靴下汚れませんよってアピールでもある。
けど、ホコリってほんとしぶといんだけどそれはまた別の話で。
それをやってきた副産物として1つスキルが身に着いたのかは不明ですが、服の上からだろうとなんだろうと、身体を触る前からツボが見えるようになり、『絶対にツボを外さない』なんて恥ずかし気もなく言えるようになったような。
指で押す範囲のひろーいツボではなく、鍼先で貫く極小範囲で捉えるゴマ粒サイズのツボです。もちろん本当に目で見えてるのではなく、分かるという意味です。だから別に目をつぶっていても関係ない。
私のこの脱がせない刺し方について同業者の中には「絶対にダメな行為だ」と言う先生もいるでしょう。それには私は反論出来ません。大義名分が向こうにあるからです。
だから本来お客さんと対話し理解を得て、そして然るべき服装になってもらい治療にあたるのが筋だとは思います。
しかし私は理解に割く時間より効率を取りました。回数や期間をなるべくかけずに症状が良くなってもらえたらと。
初回から、必要あらば恥骨でも胸骨でも鼠径部でも、刺したいとこに鍼が刺せるように。この辺にはかなり使えるツボがあるんですが恥ずかしいとかそういう理由で避けられてることは多いと思います。
簡単にめくれるとこはめくらせてもらって素肌に直接いきますが素肌を出してもらうことで手間や別の問題が生じる時はもうそのまま。
鍼屋の顧客には鍼灸師だけじゃなく看護師や歯科医師なんかもいて、そんな方々も私の治療を気に入ってくれているからと今は甘えています。
けど今の時代って何かと他人を許さない人が増えてるので、そうなったら私のお客さんに求める理想の治療着スタイルにも変化があるかもしれませんね。
現在でも、用意してもらえるのであれば女性はキャミソールやブラトップみたいなもの。下は短パンに靴下。が本当の理想です。なので全身タイツではなく、推していくのはコッチでしたね。ちなみに男性はこちらが何も言わずともパンイチになってくれる方いますが、それはそれで季節によっては保温が大変なのでやっぱり理想ではないのです。ダルダルのタンクトップにダボダボの短パンなんかが最適ですね。靴下は履いてた方がいいです。特に冬季は。
最後に誤解無きよう言っておきたいのですが、服の上から刺したくて刺しているわけではないです。様々な要因から生まれた苦肉の策ではありますが、それによるメリットも多い為続けています。独特なやり方をしてるくせにこれで私が下手くそだったら目も当てられませんが、多くの方の満足を得れるのならこれもありかなと。通う治療院はお客さんが選べるものですからね。
それと一番大事な事、服の上から刺されるなんて困る、って方。それは至極真っ当な意見ですので堂々お伝え下さいね。
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