ハリネズミちゃんの飼育方法が、ネットやInstagramなどのSNSで色々と投稿されるようになったことから、一時期言われていた3歳の壁というのは簡単に乗り越えられるようになってきた感じがします。


今回は3歳を超えたハリネズミちゃんたちにはどのようなケアをすれば良いのかについて書いていきたいと思います。




ハリネズミちゃんは、3歳を超えるとシニアと呼ばれる時期に突入します。


高齢のハリネズミちゃんで気をつけなければならないことが、

①運動量が低下する

②免疫力が低下する

③与えるフードに気をつける

の3点かと思います。


①運動量が低下する

これは、高齢になることで筋肉量が低下することが主な原因だと当店では考えています。

3歳を超えても元気に走り回っているハリネズミちゃんも存在しますが、肥満傾向にあるハリネズミちゃんは、ほかのハリネズミちゃんに比べて運動量が低下する傾向にあります。


また、運動量の低下に加え、加齢とともに代謝が落ちるため、体温の低下も見られます。

体温が低下することにより、免疫力も低下していきます。風邪や腫瘍など、免疫に起因する病気を発症することがあります。


運動量の低下を補うためには、腹部のマッサージをすることで筋肉に刺激を与えて動かすようにします。


ただし、マッサージといっても指圧とは異なり、ハリネズミちゃんの腹部を指先で撫でるように動かすということになります。あまり腹部を圧迫しすぎないというのが当店での見解になります。これぐらいの力でマッサージをしても筋肉は刺激されて、低下した運動量を補ってくれると思います。


代謝の低下を補うためには、ケージ内の温度をやや高めに設定します。その子その子によって適温があるので一概に何度が良いとは申しにくいのですが、普段生活していた温度より、0.5〜1度上げるだけでも良いかと思います。ただし、温度を高くする場合は、一気に温度を上げるのではなく、1週間ぐらい時間をかけてゆっくりとケージ内の温度を上げていくようにします。


ここで注意すべきことは、ペットヒーターなどハリネズミちゃんの腹部が直接ヒーターに触れないようにすることです。ヒーターに腹部が腫れていると、身体の重みによってヒーターに触れている部分が想像以上に高温になることがあります。また、低温であっても長時間身体にヒーターが直接触れていた場合、低温やけど(医学的には低温熱傷といいます)を起こすことがあります。


低温やけどは、身体の内部まで火傷をすることがあります。熱のダメージを受けた深さにより、Ⅰ度〜Ⅲ度まであります。皮膚表面が赤くなっている場合はⅠ度のことが多く、じゅくじゅくした傷が見られた場合はⅡ度〜Ⅲ度になっていることが多いです。


Ⅱ度の場合は、塗り薬などで約1ヶ月ぐらいあれば治ることがありますが、Ⅲ度の場合は手術が必要な場合があります。


ケージ内の温度をとるためには、その辺りの注意が必要となってきます。特に運動量が低下したハリネズミちゃんは要注意になります。


②免疫力が低下する


これは①とも関連がありますが、体温が低下することと免疫力が低下することは関連性があります。体温が低下するということは、臓器の動きが低下していることになります。

*胃や腸の働きが悪くなると食事をしなくなる

*腎臓や肝臓の動きが悪くなると老廃物が体内に溜まるなどが見られる

今まで身体の均衡を保っていた健康バランスが、崩れ始め色々と病気を発症するきっかけとなってしまいます。


免疫の7割ほどは腸にあると言われています。腸の働きを良くすることは、身体を動かす、体温を高めるといったことにもつながります。また、腸内環境を整えることが大切になってきます。


③与えるフードに気をつける


運動量が低下したり、代謝が低下すると、今まで与えていたフードでは摂りすぎてしまう成分があったりします。例えば、筋肉を作っているタンパク質は高齢のハリネズミちゃんにも必要ですが、運動量が低下した高齢のハリネズミちゃんは脂肪分を減らしてあげる必要があります。


現在、市販されているハリネズミフードにはこうした年齢別に必要な栄養素を考えたフードというのは販売されていません。高齢のハリネズミちゃんにとって本当に必要な栄養素を摂取するためには、フードの見直しもしていく必要があります。


特に、高タンパク質低カロリーなもの、必要な栄養素を摂取できるサプリメントなどを考えて与えられるのが良いかと思います。


ハリネズミちゃんたちの寿命が伸びてきたということは、本当に喜ばしいことです。


しかし、高齢のハリネズミちゃんのケアの方法についてはあまり語られてはいません。当店ではもうすぐ7歳になるハリネズミちゃんや5歳を超えているハリネズミちゃんが複数匹いております。


当店での経験が少しでも皆様のお力になれれば幸いです。


すべての生き物たちが健やかに過ごせますように🍀