1943年7月、一式陸攻22型の生産を開始したけど、相変わらず防弾装備は二の次に!の巻 | 第伍章「あっそう、ふ~ん!!」

第伍章「あっそう、ふ~ん!!」

主に戦史について取り上げてますが戦史には諸説ありますので、明らかな誤記以外はご容赦を!!

帝国海軍は、ワシントン海軍軍縮条約の
 
不平等を補うため、基地航空隊が敵艦を
 
攻撃する長距離攻撃機開発に着目します。
 
 
三菱重工業が開発した九六式陸攻は
 
大陸への渡洋爆撃に使用され、
 
数々の戦果を挙げますが
 
その分被害も増大しました。
 
 
 
 
 
 
防備能力を向上させた後継機開発が急がれます。
 
 
 
九六式陸攻の金星発動機を止め
 
新たに火星発動機を搭載し
 
1941年4月1日に制式採用されたのが
 
一式陸上攻撃機です。
 
 
 
 
 
 
九六式陸攻11型の性能が、
 
最大速度348km/hに対し
 
一式陸攻11型では453.7km/h。
 
 
実用上昇限度は約7500mに対し9660m。
 
 
航続距離は約2900km(爆弾搭載時)
 
に対し約2200km(爆弾搭載時)。
 
 
爆装は60kg爆弾12発、250kg爆弾2発、
 
500kg又は800kg爆弾1発に対し
 
60kg爆弾12発、250kg爆弾4発、
 
500kg又は800kg爆弾1発。
 
 
武装は機体前後に7.7mm旋回機銃3
 
に対し、前方と両側面に7.7mm旋回機銃3
 
上方と機体最後尾に20mm旋回機銃2を搭載。
 
 
ところが、操縦席を守る防弾装備や燃料タンクを
 
防備する防弾ゴムを装備することは見送られます。
 
 
発動機の馬力向上に伴い高高度から敵地上空に侵入し、
 
高速化・重武装により敵機を排除すると言った
 
「攻撃は最大の防御」が海軍の方針だったからです。
 
 
 
 
空冷複列星型14気筒の火星11型
 
 
 
中攻隊の渡洋爆撃に襲い掛かった
 
支那空軍の主力戦闘機はP-26 ピーシューターで、
 
 
 
 
 
 
中攻隊に零戦が随行すると
 
全く歯が立たず返り討ちにされたようです。
 
ところが対英米戦が開始されると
 
米軍のP40やF4Fによる被害が続出します。
 
 
 
 
 
 
敵戦闘機隊が一式陸攻を攻撃した際、
 
一掃射で炎上したことから
 
「ワンショットライター」とあだ名したのは、
 
翼内の燃料タンクが防弾仕様に
 
なってないことから来たそうです。
 
また敵機には操縦席にも
 
厚い防弾鋼板が装備されてますが
 
日本機にはそんなものなく、
 
薄皮のようなジュラルミンの機体だけでは
 
搭乗員を守ることはできません。
 
 
 
 
 
 
それでも陸攻隊の果敢な攻撃は続きます。
 
 
 
 
二番機が隊長機のようで、あえて他機より高度を取り
囮となってるようです。一番機・三番機のこの超低空
飛行をご覧ください。ちょっとやそっとの飛行技術では
この高度で機体を安定させることは不可能です(伯父談)
 
 
 
ソロモン海域における各戦闘で陸攻隊もまた消耗していき、
 
再編に苦しむ海軍は、陸攻の武装強化を図ろうとします。
 
 
1943年7月から生産を開始した22型は、
 
発動機を火星21型に換装。
 
胴体、主翼ともに全面改修、
 
上部旋回機銃を手動から
 
動力式とし、360度回転型に変更。
 
上部・側面の7.7mm旋回機銃を
 
20mm旋回機銃に変更。
 
 
 
 
この火星21型は、派生型の22型を二式飛行艇に
 
25型を天山12型甲に
 
雷電に火星23型甲を搭載しました
 
 
 
一式陸攻22型は
 
これらの変更に伴い重量が増した分、
 
またもや防弾装備は見送られます。
 
 
歴戦の熟練搭乗員の多くを失い、
 
訓練中の予備士官等の訓練期間を
 
大幅に繰り上げ、前線に投入し出します。
 
 
 
戦闘経験のない予備士官たちを
 
防弾装備のない機体に載せ
 
出撃させれば、当然のことながら
 
敵の餌食となります。
 
 
防弾について少しでも意見具申しようものなら
 
『敢闘精神の欠如』として
 
鉄拳が飛んでくるのは明白ですし。
 
 
 
そして彼らの多くは還らなかった…
 
 
 
この22型には、
 
H-6型捜索レーダーを追加した22甲型、
 
上部旋回20mm旋回機銃を
 
短銃身の九九式一号銃から長銃身の
 
九九式二号銃に変更した22乙型などの
 
派生型も登場しますが、焼け石に水です。
 
 
 
 
 
 
やがて一式陸攻は数期な運命をたどり、
 
発動機を火星21型から25型に変更した
 
24甲型の爆弾倉を桜花11型を
 
搭載できるよう改修し、
 
ここでようやく燃料タンクや
 
操縦席の防弾装備を強化した
 
24丁型に変化していきます。
 
 
 
 
 
 
この頃になると
 
最高速700km/hオーバーの敵戦闘機が出現し、
 
最高速が500km/hにも届かない上に
 
2トンもある桜花を搭載する神雷部隊の陸攻は、
 
完全に敵のカモに成り下がってしまいます。
 
 
 
 
 
 
実戦経験のない予備士官たちの
 
機体は離陸するだけでも難しく、
 
一部の機体には桜花に搭載された
 
4号1式噴進機離陸用を主翼下に取り付け、
 
離陸の際にこの補助推進力を得て
 
どうにか離陸できる始末。
 
 
 
 
 
 
伯父たちの機は桜花を腹に抱えての離陸の際、
 
この噴進機を使用せずにどうにか離陸に成功。
 
敵機の襲来の際にこの推進機に点火し、
 
補助力を得て積乱雲に逃げ込み
 
敵機の攻撃を回避したそうです。
 
(点火後機体の振動がメッチャ激しく
 
落ちるかと思ったらしいです)
 
 
しかし予備士官たちの機は
 
敵機に遭遇してもただ直進するしか知らず、
 
応用力に欠けた遼機は次々と落とされていきます。
 
 
 
 
 
 
神雷部隊の出撃回数10回で延べ78機が出撃し、
 
52機が未帰還となっています。
 
 
 
 
 
 
それに対し戦果は、
 
レーダーピケットの駆逐艦1隻撃沈、3隻大破、3隻損傷。
 
彼らの尊い生命に釣り合った戦果なのでしょうか?
 
 
 
いくら岡村指令の命令とは言え、敵機と遭遇した時に
 
桜花を投棄し帰投した次席伯父は、
 
そのことを今でも悔いております。
 
 
 
 
 
 
 
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