1943年11月、敵はギルバート諸島の
マキン、タラワへ押し寄せてきました。
守備隊も奮闘したけど、圧倒的な兵力のもと
玉砕の道をたどりました。
敵は上陸に際し、事前にギルバート諸島やナウルを
空母艦載機で攻撃をしています。
それを迎え撃ったのが、マーシャル諸島各基地の
海軍航空隊でした。
四次に渡る攻撃の結果、戦果報告は空母8を撃沈、
その他と報告されましたが、友軍の損害も多く出ています。
実際は21日の攻撃で、軽空母インディペンデンスに
魚雷1本命中させたにとどまっています。
ギルバート諸島を手中に収めた敵の次の目標は
マーシャル諸島です。
ここの航空基地を叩かないと空母は安心できません。
一方日本側は敵の機動部隊はすでに壊滅してると
安心しきってるご様子。
そんな中、こそっと忍び寄る影が六つ。
エンタープライズ、 エセックス、ヨークタウン、レキシントン
軽空母カウペンス、ベロー・ウッドです。
5日未明、艦隊はクェゼリン環礁の北北東海上で
400機に近い攻撃隊を発進させ、
クェゼリン環礁の各島に向かわせます。
ルオットのレーダーが敵編隊を捕捉し、
即座に迎撃態勢を整えますが、
環礁内に停泊中の軽巡長良、 五十鈴、 給糧艦杵埼
などが損傷。
長良
五十鈴
画像は同型艦の荒埼
特設駆潜艇第七拓南丸、 特設運送船長興丸,
特設給炭油船朝風丸、給水船立山丸、などが沈没。
第七拓南丸
朝風丸
長興丸
基地航空隊はルオット、ウォッジェ、マロエラップから
索敵機を発進させルオット北北東海上に機動部隊を発見。
ルオット駐留の752空を率いる野中五郎少佐の陸攻9機が発進。
エニウェトクからも753空の陸攻8機が発進。
752空は機動部隊を発見し攻撃に移り、2機損傷するも全機帰還。
空母と巡洋艦各1隻撃沈、空母1隻撃破を報告。
753空は空母1隻と巡洋艦2隻の撃沈を報告。 2機未帰還。
実際はレキシントンに魚雷1本を命中させ中破。
その他誤射により三艦が軽微な損傷のみです。
レキシントン
連合艦隊はこの戦果報告も真に受け、
先のギルバート諸島沖航空戦の誤報空母8隻撃沈
と合わせ、敵空母部隊は壊滅との判断をしてしまいます。
マーシャル方面の基地航空隊は甚大な被害を受けたのも
かかわらず、「敵航空戦力は低下」とした作戦計画を
立ててしまいます。
戦果誤認は今に始まった訳ではなく、
海軍の得意とするとこですね。
第50任務部隊は同海域を離れ、
帰路にナウルをも攻撃していきました。
この攻撃に参加したエセックス、ヨークタウン、レキシントンは
南太平洋海戦で一時的に空母の稼働がゼロになった後に
就役したエセックス級の新鋭空母たちです。
エセックス
ヨークタウン
彼らはソロモン方面での戦いで多くを学び、
この頃には迎撃システムを完成しつつあります。
ヨークタウンの各種レーダー
これからこのエセックス姉妹に
散々苦しめられることになりますよ。
ちなみに、752空を指揮した野中五郎少佐は、
二・二六事件の野中四郎陸軍大尉の弟です。
開戦後フィリピン空襲、アッツ島の戦いに参加。
そしてギルバート諸島沖航空戦、マーシャル諸島沖航空戦で
敵機動部隊攻撃に参加するなど、熟練搭乗員の中でも
強者と呼ばれるほどの腕前です。
1944年10月、721空飛行長に着任し
やがて桜花を抱いて陸攻18機で九州沖航空戦に参加。
全機撃墜され、壮烈な戦死をされています。
彼のような有能な人材をこのような使い方で
失うなんて、海軍もついにヤキが回ったんでしょうね。
