1939年2月25日に就役した水上機母艦瑞穂は、
有事の際には甲標的母艦への
改造を可能として設計されています。
開戦時は第11航空戦隊に所属して
フィリピン攻略戦や蘭印作戦等に参加しています。
ミッドウェー作戦参加のため柱島へ単独回航中の
5月1日23時頃、敵潜の雷撃で大火災が発生。
2日早朝に沈んでいきました。
「瑞穂被雷大火災」の報告を受けた
第四戦隊の高雄と摩耶が現場に急行し
瑞穂乗員を救助し、対潜警戒を厳としましたが、
敵潜の発見には至りませんでした。
瑞穂を沈めたのはガトー級のSS-228 ドラム。
1941年11月1日に就役し、最初の出撃で
日本近海に現れ、瑞穂を仕留めました。
瑞穂沈没の報を受け駆逐艦数隻と航空機を周辺海域に
向かわせましたが、敵潜を発見出来ませんでした。
このことが帝國海軍にとって、後々痛い目に合うことを
まだ知りません。
ドラムは9日、潮岬近海で輸送船西寧丸を攻撃。
13日、伊豆半島南の神子元島近海で昭南丸を撃沈。
25日、野島崎沖で喜多方丸を撃沈。
28日、犬吠埼沖で特設巡洋艦粟田丸を雷撃。
一度真珠湾に戻ったドラムはトラック諸島方面に向かい、
7月22日、トラックとクェゼリンの中間海域で輸送船を攻撃。
8月6日、4000トン級輸送船を撃破。
17日、駆逐艦を攻撃するもかわされ、反撃される。
破損個所があったのでミッドウェーに帰投。
10月8日、尾鷲沖を航行中の輸送船団を攻撃し
へいぐ丸が沈没。
9日、勝浦沖で八幡山丸を撃沈。
20日、大王崎沖で隆南丸を撃沈。
25日、中型輸送船を攻撃するも戦果なし。
真珠湾に帰投。
12月12日、八丈島の東海上で就役したてでピカピカの
空母龍鳳を攻撃し、魚雷1本を命中させます。
17日、豊後水道に機雷を敷設。
20日夜、都井岬沖で敷設艇怒和島に発見され、攻撃を受けます。
1943年1月13日、4000トン級輸送船を攻撃。
その後真珠湾に帰投。
4月9日、 カビエン北方海上で輸送船団を発見し、
陸軍輸送船雄山丸を撃沈。
10日未明、別の船団を攻撃し5000トン級輸送船を撃沈。
18日、ビスマルク諸島沖で特設運送船日春丸を撃沈。
6月17日、 輸送船団を攻撃し特設運送船妙高丸を撃沈。
8月28日、輸送船団を攻撃し山霧丸を撃破。
9月8日、単独で航行中の第十三博鉄丸を撃沈。
11月17日、ラバウル北西海域で特設運送船日枝丸を撃沈。
1944年9月、ドラムはソーフィッシュとアイスフィッシュとで
ウルフパックを構成し、フィリピン方面に向かいます。
10月26日、マニラに向かうモマ05船団を発見。
これを攻撃し大彰丸と大博丸を撃沈。
大彰丸
大博丸
8月9日に真珠湾を出港し、サイパンに向かう途中
終戦を知り、ドラムの戦争は終わりました。
ドラムが最初に日本近海に現れた1942年5月は、
ミッドウェー作戦の前で、まだ海軍内にイケイケの
風潮が蔓延してた時期です。
対潜哨戒への重視や研究もあまりなされていません。
そのことが瑞穂沈没の後もドラムをのさばらせ、
このように多くの艦船を失う結果となりました。
米海軍のように対潜兵器の開発が進まず
結果終戦までの3年余に、
敵の“海の狼”たちに入れ食い状態にされ
数え切れないほどの艦船と人命が失われました。
この輸送船が運ぶ兵力が戦地に届いてたなら
戦局が変わったかもと思うところもあったりして
今さらながらメッチャ悔しい思いと、軍首脳の無能さに対し
腹立たしさでいっぱいです。
戦後ドラムは1946年2月16日に退役し、
現在はバージニア州ノーフォークの
戦艦アラバマ記念公園で
陸上展示されています。
