今日は季節によって環境が体にどんな影響を及ぼすかについてお話していきます。
最近の気候変動によってここ数年の季節の変化は今までの季節の移り変わりや気候の変化とはかなりかけ離れたものがありますが、一般的な変化をみていこうと思います。
途中の文章は長いので興味のあるかたは読んでいただけたら良いと思います。
この記事でお伝えしたい大切なことは赤字にしましたのでお時間ない方はそこだけ見ていただけたらよろしいと思います。
東洋医学の季節は5つに分けて考えます。春夏秋冬に加え長夏といった季節が加わります。
長夏は旧暦の6月ころを表す場合と、春夏秋冬のそれぞれの間数日間を長夏という場合とあります。
5つの季節それぞれの特徴としましては、春は温暖で過ごしやすく、夏は炎天下となりとても暑い日々が続き、長夏には湿度の高い日々が続きます。
そして秋となりますとすがすがしい日々が続き次第に乾燥が強くなり、冬になると寒さが出てくるといった法則性があります。
東洋医学では自然界には六気(風気・寒気・湿気・熱気・暑気・燥気)があり、季節によって増えたり減ったりすると考えます。
また、東洋医学では体を5つに分類して考え(五臓:肝心脾肺腎に分類します)、それぞれが季節に以下のように対応していると考えます。
肝気:春に関連が強い
心気:夏に関連が強い
脾気:長夏に関連が強い
肺気:秋に関連が強い
腎気:冬に関連が強い
また体のなかにある気血の流れも季節によって変化すると考えられます。
春夏は気温が高く温暖な気候のため血液の運行はなめらかになります。
また気血はからだの表面に向かうため皮膚はゆるみ、汗が多くかきやすくなります。汗で体内の水分が減るのでそのぶん尿は少なくなります。(暖かい空気は上へ上へ行きますので、イメージとしては体の中でも同じように上へ上へ外へ外へ行きやすくなります。)
秋冬は気温が低く寒冷な気候によって血液の運行は滞りやすくなります。
気血は体内に深く沈みやすくなり皮膚はきゅっと閉まります。そのため汗は少なくなり、そのぶん尿は増えます。(冷たい空気は先ほどと逆に下へ下へと行きますので体内でも同じように変化します。)
東洋医学は人間をよくよく観察しているとこんな傾向があるな、といってある法則をみつけながら理論を作ってきた背景があります。
なので、もちろんその法則に当てはまらないこともありますが、季節の変化(特に温度や湿度)によって知らず知らず人間は気の流れや血液の流れに影響をうけているんだなあっといった風に考えていただけたらと思います。
わかりやすい例としましては、関節の痛みは寒さ、冷たい風、しとしと降る雨によって悪化しやすいので時期としては夏よりも冬に悪化しやすいです。温暖で晴れた日が続くと関節の痛みも軽減したといった経験に心当たりのあるかたも多いのではないでしょうか。
逆に長夏の湿度の多い時期には下痢をしちゃったよといったような胃腸障害に悩まされたかたも多いのではないでしょうか。下痢まではいかないにしてもこの時期になんとなく胃の不快感や体のだるさを感じることが多いと思います。
意外と季節の変化によって身体も変化しているのです。東洋医学では人と自然と統一性がある(天人合一説)と考えます。なので気候や環境の変化によって変わる六気の変化を考慮することはとても大切になります。
気がついているときは体に良い影響をしてくれるものと考えますので、六気は私たち体に良い影響を与えてくれてもいます。
すがすがしい風は気持ちの良いものです。
逆に邪といった文字がついてくると体に悪いものと考えます。
冷たい風に長時間たくさんあたってしまった(風寒邪)ら寒気がして風邪をひいちゃったよ!といった具合に良いものでも条件や量によっては体に悪さをしてしまいます。
難しく考えず冬は冷やさない。風が強い日は首の後ろをしっかり守る。基本的なことを守ることが大切です。
眞健堂薬局 鍼灸眞健堂 田中紗百合