※当SSは本家ラブライブと設定が違う部分などがあるので、初めて見る人は以下を参考にしていただければと思います。
真テニスのお姫様 まとめ


前回のテニライブ!
ことほのvsさくひまのD2で幕を開けた都大会準々決勝。

序盤こそはことほのがコンビネーションを見せつけ主導権を握りかけたが、すぐにさくひまも息を吹き返す。

するとさくひまはことほのペアの弱点を見つけ、穂乃果に仕事をさせず、ことりばかりが集中的に狙われるようになる。

流石のことりもこれにはついていくことができず、スタミナに限界が見え始める。

そんな中で、穂乃果があることを思いつく。

穂乃果が敷いてきた作戦とは一体…。

Genius 19「友情のダブルス」

櫻子「ふぅ…ようやくここまで来たね。向日葵、このまま早く終わらせるよ!」

向日葵「ええ、そうですね。もうあなたを扱うのも大変ですから。」

向日葵(まあ、いいですわ。このままこれを続けてけば…。)

相変わらずさくひまペアは、早く終わらせることばかりを考えていた。
すると、ことほのペアもここに来てある変化を見せてきた。

穂乃果「ことりちゃん!行くよ!」

ことり「うんっ!」

櫻子「えっ嘘!?穂乃果ちゃんとことりちゃんが入れ替わった?」

向日葵「守りの南さんがポーチに?」

ここに来て穂乃果とことりで攻めと守りの役割を入れ替える奇策とも見られる作戦を敷いてきた。



櫻子「でも、そうしたら後ろが手薄だよ!」

ことりの横を抜いて、決まったかように思えたが…

穂乃果「甘い!」スパァン

櫻子「えっ!?返した?」

穂乃果も必死のサイドダッシュで追いついてきた。
穂乃果もある程度の守りの技術を兼ね備えていたからだ。
しかしこのフォーメーションの狙いはそれだけではなかった。



向日葵「あっ!高坂さんが前へ!」

櫻子「ヤバい!あのパワーショットが来るよ!」

向日葵「櫻子、下がって!」

2人は穂乃果の決定打に備え、後ろに引いて構えたが…

ストン…

櫻子「え…?」

向日葵「ドロップボレー…?」

穂乃果がここに来てなんとパワーショットと見せかけたドロップボレーを見せてきた。
穂乃果はただのパワープレーヤーではなかった。
このような繊細なプレーも持ち合わせていたのだ。



するとまた同じ陣形から穂乃果が前に来る。

櫻子「また穂乃果ちゃんが前に来た!今度はどっち?フラット?ドロップショット?」

先程一度ドロップボレーを見せられたさくひまは穂乃果の次のプレーが読めずに混乱してしまう。

向日葵「フラットですわ!」

これに対応することができずに向日葵はチャンスボールを上げてしまう。

向日葵「しまった…!高坂さんのあれが来ますわ!」

そして…

穂乃果「よぉーし、決めるよー!ダンクスマッシュ!」ズドーン

穂乃果の十八番、ダンクを力強く決めてみせた。
そしてこのゲーム、音ノ木が取り返した。

穂乃果「ドーン」



穂乃果の持ち味はダンクを中心としたパワーショットではなかった。
時より見せる繊細なショット、そしてそれを状況によって使い分ける洞察力。
これが穂乃果の最大の武器。
"音ノ木のクセ者"と言われる所以だった。





櫻子(穂乃果ちゃんのプレー全く読めない!あんな実力の持ち主だったなんて…。)

向日葵(これは厄介なことになってきましたわね…。)

穂乃果のクセ者っぷりに錯乱され続けたさくひまペアは、流れを完全にことほのに持ってかれてしまい、ついに4-4の同点に追いつかれた。

これに、音ノ木ベンチは、大いに盛り上がった。

セイラ「よっしゃあ!追いついた!行けるよこの試合!」



櫻子「くっそー。あっという間に追いつかれた。」

向日葵「まさか、高坂さんがあんなプレーを仕掛けてくるなんて…。」

すると、さくひまにも徐々に変化が見え始める…。

櫻子「向日葵。このペアでのダブルスなんてもうほんっとうにやりたくないけれど、あと少しだけ協力してくれる?」

向日葵「ええ、そうですわね。あなたと組むのはもう懲り懲りですが。この試合、絶対に負けたくない!」

櫻子「珍しく気があうね。私もちょうどそう思ってたところだよ!」

向日葵「櫻子、行きますわよ!」

今まではお互いに早く終わらせることしか考えていなかった2人が、ついに勝利への執念を見せ始めた。



しかし、ことほのペアにも再び異変が見え始める…
このゲームは穂乃果のサービスゲームだった。
弾丸サーブに期待がかかったが…

穂乃果「…」スパァン

穂乃果の打つサーブは力のない普通のサーブだった。

瑞希「あれ、穂乃果先輩?」

海未「穂乃果、暴れすぎたようですね。」

トリオ「え?」

穂乃果はここまでことりの代わりにゲームメイクをし続けてきた。
これだけ1人で打ち続けて、体力に限界が来ないはずがなかった。



ことり「穂乃果ちゃん…」

向日葵「高坂さん、ようやく限界が来たようですね。」スパァン

向日葵の打ったショットは、穂乃果の横を抜かれたかに思われたが…

ことり「うりゃあああああああ!」

ここで執念のダイビングボレーを見せてきたことり。

水琴「え!?嘘!ことり先輩?」

セイラ「ことり先輩があんな凛先輩ばりのダイビングプレーを?」

海未「ことり、普段あんなプレーなんて見せないのに…。穂乃果を庇って…。」



櫻子「ことりちゃん流石だね、その気持ちの強さ。でも、これで決まりだよ!」スパァン

今度はことりの横を抜かれたが…

穂乃果「うぅ…。簡単に、抜かせる…わけには…!」

穂乃果「うおおおおおぉぉぉぉぉ!」

ここで穂乃果も同じく執念で追いつき、返してみせた。

ポスン…

残念ながらこのショットはネットを越えず、相手のポイントとなる。

穂乃果「ハァハァハァ…」



水琴「凄い…。2人とももう体力は限界のはずなのに…。」

セイラ「お互いがお互いをカバーしあっている…。」

瑞希「あれが、穂乃果先輩とことり先輩の友情…。」

ここに来て、ことほのがお互いの友情を見せつけ、必死にカバーしあう。
お互いがお互いを信頼しあうからこそ、生まれたプレーだった。



これには、さくひまペアも相手ながら心を動かされていた。

櫻子「凄い、凄いよこのペア…。」

向日葵「お互い動けなくなっても、勝利のために精一杯フォローしあうその姿、敬服しますわ…!」

櫻子「あれが…ダブルス…。」



穂乃果(ことりちゃん、わかるよ…その気持ち…)

ことり(うん、私、もう…限界だよ…)

穂乃果(でも、この試合絶対に…勝ちたい…)

ことり(だから、私は最後まで穂乃果ちゃんをカバーする!)

穂乃果(ううん、私だってことりちゃんを…!)

ことり(だって、だって…!)

穂乃果(私と、ことりちゃんは…)

ことり(私と、穂乃果ちゃんは…)

表裏一体だから…!





これでこそがダブルス。
お互いにペアを気遣うその思いだけが、試合をコントロールし始めていた。

ことほの「うおおおおおぉぉぉぉぉ!」

2人同時に追いつき、後衛の向日葵が取れないサイドへのショットを決めてくる。

向日葵「しまった!横を抜かれた…!」

しかし、ここで…

櫻子「向日葵!諦めるな!」

向日葵「櫻子!?」

櫻子「あんたに協力するのなんて、絶対に嫌だと思っていたけれど、あんな姿を見せられたら私だって…」

向日葵「櫻子…」

櫻子「私たちだって、負けてられないよね!」

ついにさくひまも友情を見せつけてきた。
そして前衛にいた櫻子が一気に後ろまで下がり倒れ込みながら返したが…



瑞希「嘘?大室さんが一気に追いついてきた!?」

セイラ「でも、大きすぎるよ!」



しかしまだわからない。
この時は、さくひまペアからみて、向かい風が吹いていた。
入るかどうかわからない、ギリギリのショット…





さくひま「入れーーーーーーーー!」





ついにお互いの想いが重なったその瞬間。
ボールの行方は…










「ゲームセット、ウォンバイ七森大室・古谷ペア。ゲームカウント6-4」



まさに最後はお互いの友情がぶつかり合ったこの試合。
最後はさくひまペアが制した。



ベンチに帰ったさくひまペアは…

綾乃「ご苦労様。よく頑張ったわね。結果的にはなんとか勝つことができたけど、まさかここまで苦しめられるとは…。」

櫻子「ね、ねえ、向日葵…///」

向日葵「な、なんですの…///」

櫻子「あ、あの…あともう一回くらいだったら私とダブルスやってもいいよ…///」

向日葵「え、ええ。次は私の足を引っ張らないでくださいよ…///」

結局最後まで素直になれない2人だった。



京子「へへっ、やっぱりあの2人仲良しじゃん。」

綾乃「さあ、歳納京子!次はあなたの出番よ。」

京子「合点承知!」



一方、音ノ木ベンチ。

穂乃果「絵里ちゃん、ごめんなさい…」

絵里「いえ、あなたたちは十分に頑張ったわ。何も言うことはないわ。」

結果的には負けたものの、誰もこの敗戦を攻めるようなことはしなかった。

希「まあまだ1敗や。うちらが勝てばええんやろ?ほな、行っくでー!」

今回はここまでです。

色々とまだ至らない部分は多いと思いますが、なんだかんだで最後はうまくまとめられたんじゃないかと思います。

終盤になるに連れ、お互いの技術などではなく、友情の強さが如実に現れた試合。

そして最後は思いが強かったさくひまが制す…なんていう展開ですw

今回は原作テニプリにもなかったような試合を描くことができましたが、流石に私もネタがありません。

今後はテニプリと同じような展開が増えてくと思いますw