犬や兎には満腹中枢がないと聞く。
たくさんだから、ごちそうさまというのを知らないという。

たくさん思いの丈、食べて食べて、体を壊して、最悪の場合は死に至ることもあるみたい。

人はそれが全部になってしまった。

たくさんのはずなのに、なぜか満たされない

もっともっともっともっと、目標地点はいつのまにか通過点になって、
隣の芝生が青くなって追い着いたら、
向かいのお庭がきれいに見える。
早く速くたくさん、安く。
そこが目指すゴールでいいところだと信じてた。

もちろん、私ももっともっともっともっと、
貪欲に次の目標地点を目指し続けた。

そうしたら、ある日とつぜんのコースアウト。
後もう少しでコースに復帰できると思ってたら世界が揺れた。

意外と人は少ないもので生きていけるって思った。

昨日の自分を思ったら、幻の頂上を目指す人たちを笑えなくなった。
あのまま、このまま、走り続けたら果てにあるのはなんだろう。
今、果ての近くにじわじわと寄っていってるのだろう。

早く速くたくさん、安く。で、確かなものが
少なくなってしまった。自分の仕事も狭くなるばかり。

見た目が豪華な頼りなげなものばかりが
目について、私の仕事も例外じゃなくて、少し途方にくれてしまった。

今さら、ナローバンドとは言わないけど
帯域はもう少し狭くても、確かなものを
データの絶対量を減らす努力は必要なのかもなぁ。

つなぐ私にできること、必ずつなぐこと。
腹八分目の確かさで、腹八分目の速さでを覚えること。

それを続けた先には何かの道が見えるだろうか。

息切れしながらの全力疾走よりも、
笑いながらのジョギングの方がたくさん笑顔がつまってる。

義務ばかりで、おおらかさを失ったのかもしれないな。

バランス感覚。むずかしいよ。
暑い暑いビルの谷間の中で、
磯の匂いも確かな運河の脇に通っている。

船が何艚も行き交う。
豊かな水を湛えて、ゆったりと波が揺れる。

都内の運河は確かに汚い。
だけど、それとは別に心がざわつく。

波間が好きで、何時間だって飽きずに見つめた。
いつだって、水面に癒されてきた。

そのはずだったのに、心がざわざわする。

ありもしない想像に追い立てられる。

それでも懲りずに毎日私は岸辺を歩く。

魚が跳びはね、海鵜が潜る。
その風景に少しだけ笑う。

何を見た訳じゃない。
何かがあったわけじゃない。

ましてや海はずっと変わらずそこにある。

変わらず揺らがずいられたらいいのにな。
フリーランスエンジニアといえば、聞こえはいいが
有り体にいうと根なし草である。

私の場合、好きで根なし草をやっているわけではないので
ここのところ、いろいろ考える。

仕事で残せているわけじゃない、
地位を確率してるわけでもない。
ならば、私は人を残したいなと思う。
うまく人に伝える表現が見つからずに、
筆が進まないけれど、次を育てないことには始まらない。