暑い暑いビルの谷間の中で、
磯の匂いも確かな運河の脇に通っている。

船が何艚も行き交う。
豊かな水を湛えて、ゆったりと波が揺れる。

都内の運河は確かに汚い。
だけど、それとは別に心がざわつく。

波間が好きで、何時間だって飽きずに見つめた。
いつだって、水面に癒されてきた。

そのはずだったのに、心がざわざわする。

ありもしない想像に追い立てられる。

それでも懲りずに毎日私は岸辺を歩く。

魚が跳びはね、海鵜が潜る。
その風景に少しだけ笑う。

何を見た訳じゃない。
何かがあったわけじゃない。

ましてや海はずっと変わらずそこにある。

変わらず揺らがずいられたらいいのにな。