襟を立てる着こなしの元祖と言われ
「エリック・ザ・キング」の異名を持ち観客を魅了し続けたファンタジスタ。

元フランス代表(後にイングランドに帰化)
1966年5月24日生まれ
身長188cm
サッカー選手の中にはそのプレースタイルや実績、風貌などから異名、愛称を持つ選手がいる。
怪物、魔術師、将軍、貴公子・・・中でも「キング」という愛称は称号と言っていい特別なものであり世界的にこう呼ばれた選手は僅かに2人。
ブラジルのペレ、そしてもう一人が「キング・エリック」ことエリック・カントナである。
『俺がボスだ!』
『チームなんてどうでもいい、俺が目立てばいいんだ』
こういった言葉からカントナがどういった性格的要素を持つ人物かを想像するのは難しくない。
我が道を突き進み自分を貫く・・・それでも圧倒的な実力を持っていたからキングと呼ばれたのだ。
その実力は一人で試合を決めてしまう程であり、カリスマ性と存在感は歴代の中でも特別なものがある。
『チームなんてどうでもいい・・・』こんな言葉とは対照的に
『フットボールで最も重要なのは集団として何をするかだ。個人として注目を浴びたいなら私はテニスをやる』との言葉も残している。
自らがゴールを奪うだけでなくチームの勝利の為に味方を生かすためのプレーをしたり、汚れ役をこなしたりと献身的な面も持ち合わせるなど破天荒で唯我独尊なイメージ以外の側面も持ち合わせる人物でもある。
キャリアの中でクラブを転々としたカントナが最後に所属したのがマンチェスター・ユナイテッド。
スタンドにボールを蹴り込んだり、公然と監督批判をしたりレフェリーにボールを投げつけたりと数々の問題ある言動があったにも関わらずアレックス・ファーガソンはカントナをチームに引き入れた。
しかしユナイテッド加入後も問題行動は続き、中でもカントナキックとも言われる
カンフーキック事件は世界中で物議を醸した。

相手選手のファウルに対する報復行為で退場処分となり引き上げるカントナに対し罵る言葉を浴びせた相手サポーター、カントナはこのサポーターに対してカンフーキックを見舞いその後も殴りつけるという行動に出た。
後にこの様な発言をしている
『多くの楽しい時間を過ごしたがどれか一つを選べと言われたらそれはフーリガンを蹴った時だ』
まさに恐怖そのもである・・・自身の言動だけでなく、周囲の人物の発言にも彼の怖さを表しているものがある。
フランス代表監督だったエメ・ジャケは、ジネディーヌ・ジダンの台頭や世代交代を考えカントナに代表落選を告げる時のことを『死ぬほど怖かった』と語り
スールシャールは
『唯一怖かったことと言えば、私のゴールを祝福しにカントナが追いかけてきた時でした』とのコメントを残している
アレックス・ファーガソンはアラン・シアラー獲得断念について
『シアラーを獲得するにあたって、2つの問題があった。一つは彼がPKを蹴りたがること、もう一つは背番号9番をつけたいと思っていることだ。背番号の方はそれほど問題はなかったのだが、その頃の私のチームでPKを蹴っていたのは“カントナ”だったのだよ・・・』
とその理由を語るなどカントナがいかに恐ろしいかを表現するには充分過ぎるものと言える。
それでもファーガソンがチームにカントナを加えた事は間違いではなかった、むしろ素晴らしい結果となった。
全てのクラブはいつも勝利をを求められるものである、ただ特別なブランド力を持ち勝利を義務付けられているクラブは極一部である。
ファーガソンの退任後、悪夢と言えるシーズンを過ごし現在チームを再建している状態とは言えユナイテッドはその極一部に入るクラブである事は間違いない。
カントナのユナイテッド在籍期間は1992年~1997年の5年間、1992年はプレミアリーグ最初のの開幕年でもある。
ユナイテッドはカントナの在籍期間中にリーグ優勝5回と2度のFAカップ制覇を果たしている。

現在のマンチェスター・ユナイテッドの地位、それを完全に確立する為の基礎を築いたと言える特別な期間であった事は言うまでもない。
その後、カントナから栄光の7番を引き継いだデイヴィッド・ベッカムやポール・スコールズなどファーギーズ・フレッジリングスと呼ばれる選手を中心にその地位をより強固なものにしていくユナイテッド。
そういった選手達にプロとしての在り方を示したのはカントナである。
『確かにカントナには数えきれない程の欠点がある。彼は人の指図を受けない人間だ。しかし、彼が我がクラブにもたらした最大の功績は、完璧を目指すならトレーニングを疎かにするなということを思い出させてくれたことだ』
ファーガソンのこの言葉の通りカントナの練習に対する熱心な取り組み姿勢は周囲の選手に大きな影響を与えた。
その姿勢だけでなく技術的にも最高のお手本であったのだ。
傲慢な性格や問題行動はあった、ただそれ以上にカントナが残したものは大きくユナイテッドへの貢献度は計り知れない・・・彼が今尚ユナイテッドサポーターに愛される理由の一つでもあるはずだ。

私はカントナのプレーなどを「過去の映像」でしか知らない、C・ロナウドやリオネル・メッシの様な選手が同時期にがプレーしている「今」を観れる事は幸運ではあるが・・・
カントナの様な選手の出現、そしてその選手の「今」いればどうなるのかを見てみたい。
素晴らしい選手はいつの時代にも存在する、スターやバッドボーイと言われる選手もだ。
ただ「圧倒的なカリスマ性」を持っている様な選手というのはそうそう見当たらない・・・
いつの日かこういった選手が新たに現れてくれる日が訪れる事を願ってやまない。
と、コラム風に書いてみた(笑)
最後にプレー集