12/28
やる気が出ず、ぼーっとする。
「ぼーっとしてる」
と家族にも言われる日。
猫を見詰めて気を張って
夜中も朝方も、起きて、ごはんと片付け。
そりゃあ、ぼーっとするかも。
深い眠り不足か。
夜中のごはんをやめることに。
「疲れがたまってる」
が口癖になりつつある自分は
好きじゃないなあと思う。
日記を書いているそばで、
猫がわたしを見ている。
あまりにもかわいい。
そんな存在を、
こんなことにしてしまった
その自分をどこかで責めている。
夜中もがんばらなきゃ
やれることは必ずやらなきゃと
力んでいたのかもしれない。
好きで、楽しんでいた仕事中には
「早く終えて帰りたい」
「なんかいらいらする」
と思うこの頃。
「それは愛なのか?」
と問いかける。
「猫にしてやれることは必ずやる」は
愛なのか?
そうなのだろうか?
「忘年会行きたくない」
と思うほど、猫の世話をガンバルのは
愛なのか?
・・・・・・
「猫のそばを離れること=愛がない」
ではない。
きっと。
これまで毎日、毎晩、
仕事や音楽、勉強会を
うんとたのしんで、家に帰って
また猫に会えるのが楽しみだった。
「今日も会えたね」
と言って猫を抱っこするのが好きだった。
今は仕事から帰るたびに
「ごめんね」と
申し訳なく思う。
ごはんをあげられない時間が長いと
「喉を休めてよかったかも」
と思うこともある。
けれど「水分足りているかな」
と不安にもなる。
「ウンチが出てない」
と焦ったりもする。
生き続けることを選んだ猫を
なくしてしまうこと
弱らせてしまうことが……こわい。
愛はあるが、
形を変えてしまっている。
こわさと不安で
緊張して、自分を責める。
毎日「しあわせだ」
と思う一方で
そんな気持ちもあったのだ。
今日から
ごはんの時間と回数のメモを、
やめる。
昨年あたりから、
嘔吐した日を手帳につけるのをやめた。
不思議なことに、嘔吐は減った。
きっと、なるようになる。
午後、車に乗って、父と駅へ向かう。
高速バスはすでに到着している。
姉と甥っ子たちが荷物を持って
ぼーっと待っているのが見える。
朝マックで食事してから
バスに乗って来たという。
甥っ子とはそんなに会話もないが
彼らとの再会は
いちばんの楽しみ。
姉といちばん下の甥と買い物。
猫にも会ってもらう。
姉はゆっくりと猫に近づく。
猫は安心している様子で
わたしもうれしくなる。
猫にごはんをあげて
実家で夕飯。
唐揚げ、カツオのたたき、あまえび。
いろんな御馳走がミックス。
食事後、少し暗いなか
コンビニへ歩いて向かう。
上下黒い服の男性が
うしろから歩いているのが見える。
「こわい」
とおびえる姉を見ていると
こちらもこわくなってくる。
男性ってだけで、
黒い服を着ているってだけで、
なにもそこまで警戒しなくてもいいのかもしれない。
けれど昔、同じような風貌の人に
襲われた経験が姉にはある。
異常に警戒し、逃げ足でコンビニへ。
男性もコンビニへ入る。
さりげなく視界から遠ざかるように、
店内を歩く。
男性が出ていくのを待ってから、
支払いを済ませ、
店を出て家へ向かう。
玄関に入り、鍵をしめると
ようやくほっと身体の力が抜ける。
姉はあの日から何年も、
こうやって身体に力を入れたまま
生きてきたのだろうか。
実家からの帰り、
ふたたび買い物を済ませ
海辺のわが家へ戻る。
実家のある町よりも
この町のほうが好きだ。
海風は寒く、
夜中にはうなるような風音がする。
天気の日の海の眺め
大きな空のしたで
ゆったりと時が流れる。
カラッとした人柄の人が多く
開けっ放しの窓辺に
地域猫がのんびりと腹を見せる。
猫は今日もしっこをした。
元気。
今日はよく眠ろう。