あれ~、これって限定5食ってかいてある。


女子は、私たちの心をも読みとったのか。我々が聞きにくいことを突如聞いてみた。


動かぬ右手を必死に、動かし少しずつ食の歩みを進めていた、我々も、その時ばかりは、

店主の納得の答えが聞けるであろうと思い、機敏に反応し、女子と店主を交互に見返した。


『スペシャルって、5個しかないなら、今そこでアホみたいにバカ食いしている5人分で終了ですよね?』


ほぼ100点だ。(私たちアルピニストは一同思ったに違いない)


この際、アホみたいにバカ食いしているってところは、あえて掘り下げないでおこう。

そんなことを気にしているほど余裕がない。


それ以上に、よく聞いてくれた。


アホだのバカだのは、今では全く意味をなさない言葉になっている。


もう、大盛りと、通常は別物という考えは通用しないと、先に言ってやろうか。

店主は、もう追い詰められたも同然のはず。


終わりよければというか、最後は笑って店をでることができそうだ。

私たちは勝利を確信して、一斉に立ち上がり、店主を覗き込む。


店主は冷静に、すっと、但し書きに手を伸ばすと、5の横に1を書き足した。


限定15個。


15-5=10個。なるほど、女子二人が注文できないわけがない。


妙に手慣れた手つきから、毎回こんなやりとりをしているのだろう。

店主からは、悪びれた、顔もなく涼しい顔をしている。


よくみれば、その薄汚れた、メニューの但し書きは、何度も修正テープで消した跡が残されている。


3000円というインパクトから、メニューを注視するという危険管理能力が欠落していたのかもしれない。

身体中から力が抜け、静かに元の、椅子にすわりなおした。


振り上げた右こぶしは、そっとおろされ、箸を静かに握っていた。