山芍薬(ヤマシャクヤク)


山芍薬(ヤマシャクヤク)はキンポウゲ科ボタン属の多年草である。
日本原産である。
本州の関東地方から九州にかけて分布し、山地の林の中や森の縁に生える。
名の由来は、山に自生しており、中国から渡来した芍薬(シャクヤク)に葉の形や蕾が似ているところからきている。
草丈は40~50センチくらいである。
葉は3~4枚あり、茎に互い違いにつく。
3~7枚の小葉で一つの葉が構成される。
小葉の形は楕円形ないし倒卵形で光沢があり、裏面は白っぽい。
開花時期は4~6月である。
茎の先に花径4~5センチの白い美しい花を上向きに1個つける。
花びらは5~7枚で、中心にたくさんの雄しべと2~4本の雌しべがある。
雌しべの赤い部分(柱頭)はやや曲がっている。
花びらは雄しべや雌しべを抱えるように咲く。
花の後にできる実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)である。
秋に実が熟すると莢が裂けて、中から黒い種子と結実しない真っ赤な種子とが現れる。
そのコントラストは驚くほど美しい。
熟した種子の色は黒く、紅色の種子は不稔である。
根は生薬で山芍薬(やましゃくやく)といい、鎮痛薬とされる。
植林による影響と盗掘によって絶滅の危機にある。
環境省のレッドデータブックでは、「絶滅の危険が増大している種」である絶滅危惧II類(VU)に登録されている。
写真は4月に南足柄市の丸太の森で撮った。
実の写真は8月に筑波実験植物園で撮った。
学名:Paeonia japonica


★見つけてねたった三日の命なの
 温もりの目で見つめられたい
☆世の中の穢れも遠く見つめては
 山芍薬は凛と咲きなん



山芍薬(ヤマシャクヤク)2

山芍薬(ヤマシャクヤク)3


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