1万円くらいで泊れるところはないかと
尋ねられたお客さんがいらっしゃいました。
いまは、ほとんどの方がネットで調べて来られますが、
たまに、行き当たりばったりの方もいらっしゃいます。
これはこれで旅行の醍醐味だと思うのです。
(ただし、コストパフォーマンスに優れた宿に泊るのは難しい)
私が中学生くらいのとき、家族で、思いつきで
十津川温泉に行こうということになりました。
確かお正月だったと思います。
探しても空いてなくて、観光協会へ電話すると
洞川温泉に空いている宿があるということで、
場所をそちらに変更しました。
神社へ御参りにいくと、
神事をやっていて、何か不思議な雰囲気でした。
前鬼・後鬼という鬼の石造が左右にあり、
今までに感じたことの無いような、
何とも言えない大げさに言うと血が騒ぐような感覚。
それも、そのはず、洞川は大峰山への登山口なのです。
大峰山は山岳信仰の対象で、行者さんが修行される
女人禁制の山なのです。
そのことを後で知りました。
予め下調べして行く旅行もいいですが、
行き当たりばったりの旅行での出会いもいいです。
驚きや発見があったときのインパクトは、
あとあとまで心に残ります。
先日司馬遼太郎さんの、
『歴史と風土』という本を読んでいると、
彼が13歳のときに洞川から大峰山へいったときのことが
書かれていました。
『歴史と風土』・・「密教世界の誘惑」・・
子供の時にみてしまった何か p157
歴史と風土 (文春文庫)/文藝春秋

¥605
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そのときの心境の部分を引用させていただきます
p159
・・・これはいったい何なんだろうと思いながら山頂のお寺に着くと、千年ほども消えずについているという不滅の灯というのがあるんです。真っ暗な中でそれを見ていますと、なんというか自分の内部にある土着の原始感情みたいなものがあらわれてきて始末におえなくなってしまったんです。・・・


