秋も深まったせいでしょうか。
最近、妙に感傷的になり、
宮沢賢治の『眼にて云ふ』という詩
この詩 何度読んでも泣けてきます。
疾中 -宮沢賢治-
『眼にて云ふ』
だめでせう
とまりませんな
がぶがぶ湧いてゐるですからな
ゆふべからねむらず血も出つづけなもんですから
そこらは青くしんしんとして
どうも間もなく死にさうです
けれどもなんといゝ風でせう
もう清明が近いので
あんなに青ぞらからもりあがって湧くやうに
きれいな風が来るですな
もみぢの嫩芽と毛のやうな花に
秋草のやうな波をたて
焼痕のある藺草のむしろも青いです
あなたは医学会のお帰りか何かは知りませんが
黒いフロックコートを召して
こんなに本気にいろいろ手あてもしていたゞけば
これで死んでもまづは文句もありません
血がでてゐるにかゝはらず
こんなにのんきで苦しくないのは
魂魄なかばからだをはなれたのですかな
たゞどうも血のために
それを云へないがひどいです
あなたの方からみたらずゐぶんさんたんたるけしきでせうが
わたくしから見えるのは
やっぱりきれいな青ぞらと
すきとほった風ばかりです。
底本:「宮沢賢治全集2」ちくま文庫、筑摩書房
底本の親本:「校本宮沢賢治全集」筑摩書房
質屋の息子だった宮沢賢治は、
冷害や凶作で生活に困った農家が
家財道具を売って生活に充てていたのを見ていたそうです。
亡くなる前日には農家の人から
肥料の相談を受けていたとのこと。
享年 37
また、泣けてきました・・・