「手紙」(2006・日本)
監督 | 生野慈朗 |
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脚本 | 安倍照雄 清水友佳子 |
出演者 | 山田孝之 玉山鉄二 沢尻エリカ 吹石一恵 尾上寛之 吹越満 杉浦直樹 |
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兄が強盗殺人を犯したことでいわれなき差別に苦しむ主人公の姿を通して、加害者の家族をとりまく社会のあり様を真摯なまなざしで見つめる。
手紙wiki
まずこの作品は、現実的かどうかという観点で観てはならないかと思う。玉山鉄二が弟の為に金を盗み、仏壇に手を合わせ謝罪するところも、まるで過失と言わんばかりで仕方なく殺人を犯してしまうところも、あくまで「作品」として「兄弟愛」を引き立たせるためのエッセンスであって、実際にはそのようなケースは稀も稀、ほぼ起こりえないことと言い切っても問題が無いレベルなのである。
ただしかし、現実的でないから作品として見どころが無いかというとそうではない。タイトルである「手紙」への様々なアプローチは、現代の人間が忘れかけた何かを語りかけてくれている。守りたいもの、守らなくてはならないものなど、その重さも質も秀逸だと感じた。とりわけ吹越と山田の語り合うシーン、そして玉山の最後のシーンでは涙が溢れてしまった。
正直、沢尻エリカは配役的にどうか。あの役どころならばもっと華のない女優でないと辻褄が合わない。
原作は未見なのだが、そちらではお笑い芸人ではなくミュージシャンだったのだそう。山田のステージのシーンではやはり不自然さも。だって面白くないもの。うん、求めすぎだろうか。
それでも観てよかったと感じた。
めったに邦画自体を観ないのだが、こういうのもいい。
7.5点。