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          この花びらは          

          なみだ色

          うつくしく

          泣ける人に

          なろう と思う


よろこびや哀しみは、ときどき涙に変わるけれど。

まっすぐな感情は心のままで、

だから、涙の色はうつくしいのだと思う。


けれど、怒りの感情は涙にしないほうがいい。

そこに、うつくしさは見つからないから。


大切なのは、

怒りのひとつ前にある、自分の心を見つめること。


愛しているから、裏切られるとくやしい。

大切に思うのに、気持ちが伝わらなくて淋しい。
怒りの前にあるのは、いつだって、

大事な人を、大切ものを、まっすぐに思う気持ち。


そんな感情を、先にもってきて、

そうして流した涙は、心をきれいにしてくれるから。

涙のあとの心の色は、きっと違うものになる。


Photo:   Naomi Okunaka