C.C.de.France の憂鬱 | HARDYを楽しむ方法

HARDYを楽しむ方法

HARDYを「人生」と置き換えてみる。

 パラコナを蒐集し始めた頃、なぜか私の元に引き寄せられて、結果として今でも2本所有しているのが「C.C.de.France」である。恐らく当時から人気機種だったので、個体数が多く、だから当時の私の目によく留まったのだと思う。C.Cと言えば、6f10inが最も人気だと思うが、これは#3、#4で、日本の小渓流にもマッチし、それ故高価で、私には縁が無かった。私が手に入れたのは8fと9f。指定は#6だが、#5でも十分だった。私は8fのC.Cがお気に入りで、常に連れまわしていた。ある事件が起きるまでは。

写真を見て、お気付きだと思うが、ロッドティップが折れてしまった。この時のことを思うと、いつも憂鬱になってしまう。この8fは1930年製で、ある意味でC.Cの長い歴史の中でも、脂の乗った時代というか、戦前のロッドのしなやかさ、モデルの歴史が長いからこそ改良されてきた強さを併せ持つ時期。1930年製はスレッドがケーンカラーというか金色というか、ナチュラルで、さりげなく、とても美しい。フェアチャイルドなどの機種も、1930年製は同じ段巻きである。

C.Cの書体も、この年代の細くて繊細な書体。私はこれに同じく1930年製のオリジナルブグレを合わせるのが好きだった。しかしながら、C.Cは標準でワントップの機種なので、こうボッキリと折れてしまうと、どうしようもない。私のキャスティングが下手だったのもあるが、元々使い込まれて柔らかくなっていたから、傷んでいたのだろう。私が無理に力を加えたことによって限界を迎えてしまった。ロッドビルダーにお願いして修理してもらおうかとも思ったが、色々な憂鬱があって、断念した。

 実は、この憂鬱には伏線がある。私が初めて手に入れたC.Cは1950年代の9fだった。

これもこの年代に特有の赤ではなく、ワインレッドの段巻きが特徴的だが、何となく趣が無い。手に入れた日に、家に持ち帰って部屋で継いで見ると、棒のように硬くて、あまり良いイメージはなかった。それもあってか、ジョイントを引き抜こうとして力加減を誤り、ティップを天井に当ててしまった。血の気が引いた。外観は何ともないように見えたが、後でよく見ると、ひびが入っていることがわかった。

目を凝らして見ないとわからないが、確かにひびが入っている。私は一瞬でC.Cをダメにしてしまった。そういうことがあって、それで買い直したのが8fのC.Cだったので、釣り場で8fのC.Cのティップが折れた時は、絶望というよりは、少し醒めた憂鬱だった。それ以来、私はC.Cを手にしていない。

 C.Cが折れやすいか?と言われれば、それは経験上、そうかもしれないと答えるが、C.Cの名誉を汚したくはない。C.Cが長きに渡ってHARDY社の看板商品であった事実、洗練されたデザインと軽量、安価で、1911年から1962年まで製造され続けていたことを考えると、簡単に折れやすいとは言い切れない。ただ、私が所有するホートンやドゥルックスなどに比べると、2ピースである点や、スペアティップが無い点など、普及させるために安価にせざるを得なかった分、その代償もあるのかなと邪推してしまう。ちなみに、全く関係ないが、C.C.de.Franceの正式名は「Casthing Club de France」2ピース1トップで、ガイドはスネーク、トップガイドにはメノウ。ジョイントはサクション。グリップはシンプルなユニバーサルリールフィッティングを採用し、基本的には赤の段巻きが施されている。それでも、歴史が長い分、3ピース2トップのレアモデルもあるようだ。私としてはもし、1930年製の良い状態のものがあったらリベンジしてみたい気もあるが、まだ、C.C.de.Franceの憂鬱から完全には抜け出せていない。