もう相当前になるが、私は1本のパラコナを手に入れた。その竿の名はフェアリー。アーネストヘミングウェイが若い頃に使っていたモデルと同型で、日本では有名なパラコナである。
写真のロッドが「The Fairy」詳細なスペックはわからないが、写真から推測すると9f6inか10fではなかろうか。アメリカのフライフィッシング博物館に実物が展示されているようなので、ご存じの方がいらっしゃったら、ぜひ教えてほしい。ただ、ヘミングウェイが鉄道旅行中にこのロッドの紛失し、以来、(鱒を狙う)フライフィッシングから遠ざかったという話も有名で、皮肉にも、その後「老人と海」や「海流の中の島々」など、舞台は海へと向かうことになる。しかしながら、紛失したはずのフェアリーがオークションにかけられ、現存する。本当だとすれば素晴らしいことだが、その真偽は誰にもわからない。余談だが、ヘミングウェイが愛用したロッドはフェアリーの他に、ジョン・ジェームス・ハーディーだったらしいが、ウェットフライでの釣りを好んだようなので、NO2の方だろうか。こちらもご存じの方がいらっしゃったら教えていただきたいものです。
さて、私のフェアリーの話ですが、スペックは10fで、A11747なので、1905年製。アクションはこの時代だからかもしれないが、とてもしなやかで、10fとは思えない程軽い。しかし、途中でレストアされていて、フェアリーの面影は残っているものの、レストアした年代の色が濃い。
コルクは継ぎ目の無い1本コルクで、この辺は唸ってしまうほど美しい。この写真で既にお気付きの方もいらっしゃるかと思うが、段巻きのスレッドの色が赤で、フェアリーの特徴である緑ではない。ロッドのサインも、当時の文字体ではなく、レストアした年代のものだろう。また、トップセクションも2トップだったと思われるが、1トップだった。
しかしながら、このフェアリーは、当時のオーナーが、レストアをちゃんとハーディーで行ったという証明書が付いている。私はこのフェアリーが欲しかったというよりも、その証明書にとても惹かれて、コレクションとしては欠陥が多いにもかかわらず購入を決断した。
この証明書は、1966年2月16日にA.H.Elliottというセールスマネージャーの名前で出されている。当時のチェアマンはALAN HARDY、マネージャーにW.F.HARDY、製作がJ.L.HARDYとなっている。何だか歴史のにおいがプンプンする。当時に思いを馳せる。思わず胸が熱くなり、唸ってしまった汗。
それにしても、どうしてハーディーでレストアしておきながら、オリジナルとは異なる段巻きスレッドにしたのだろう?という疑問が残る。しかし、それは「Hardy’sCollectors’Guide」を見て想像することができた。
私はてっきり、フェアリーの段巻きスレッドは、最初から最後まで緑色だと思い込んでいた。しかし、1960年代のフェアリーを見ると、段巻きどころか、スレッドも赤である。当然、緑のスレッドもあっただろうけど、ハーディーというメーカーの考え方は、質実剛健。実用的であることが最優先で、後世のコレクターが考えるような1905年当時の復元など、眼中になかったのである。私は妙に納得してしまった。ちなみに、1950年代のフェアリーも所有していたが、それは緑のオーソドックスな段巻きだった。当時はライトモデルだったかもしれないが、すでにそのその面影はなく、現代においてはヘビー級の10fだった。フェアリーは人気機種だったのだろう、製造期間も長く、かなりの数が出回っている。中古市場でも、探せば、レアというわけではない。私は特に、アーネストヘミングウェイの小説が好きなので、ヘミングウェイに思いを馳せながら、このフェアリーというパラコナのミステリーに胸が躍る。いかがだっただろうか。パラコナは奥が深くて、面白い。ミステリーの宝庫である。あなたも、自分が所有するパラコナのミステリーに思いを馳せてみてはいかがだろうか? 今日はこの辺で。それでは、また。

