府中マイスター 史上に残る女帝 ウオッカ | あなたの、そして私の夢が走っています

府中マイスター 史上に残る女帝 ウオッカ

今日のスポーツ新聞の一面には「ウオッカ引退」の文字が。

ここ数年の競馬界の主役だった馬の引退は感慨深いものがある。
ディープインパクトが引退した後の主役は間違いなくウオッカ彼女であった。
今日は彼女の輝かしい足跡を振り返ってみたいと思う。

戦績を見てみると、26戦10勝。
人々の記憶に残るレースが数多くあるが、10勝というのは思ったほど多い勝利数ではない気がする。
常に勝つという馬ではなく、本番、特に大レースに強いという印象がある。

負けて負けて、それでも這い上がって記憶に残る勝利が人々の心をつかんだのであろう。

まずは牝馬として64年ぶりに勝利を飾った2007年日本ダービー。
大本命の立場で迎えた桜花賞で、後に数々の名勝負を演じたダイワスカーレットに苦杯を舐めさせられながらも果敢な挑戦。
その世代の牡馬勢のレベルも疑問視されてはいたものの、驚異の上がり33.0の豪脚で他馬をぶっちぎったレースは驚きだった。

その後、凱旋門賞を回避するなど調整の狂いもあり、勝てないレースが続いた。
僕はダービーでの走りで燃え尽きてしまった気がしていたのだが、その考えは間違いであった。
2008年の安田記念で見事に復活。
さらにはその年の天皇賞・秋。
競馬史上に残る名勝負。
3世代のダービー馬が顔を揃えたこの1戦。
直線で後輩ダービー馬ディープスカイを競り落とし、逃げ粘るダイワスカーレットとの一騎打ち。
鼻差、わずか2センチの攻防。
15分間の写真判定。
そして、従来のレコードを0.8秒も更新。

規格外の勝利であった。

2009年にはヴィクトリアマイル、安田記念を連勝。
秋は毎日王冠、天皇賞・秋での惜敗のあとの悲願のジャパンカップ制覇。

全てが記憶に残る勝利であった。
ヴィクトリアマイルは7馬身差の圧勝。
安田記念は前が詰まったものの、こじ開けて不屈の精神力での勝利。
ジャパンカップではオウケンブルースリの猛追を鼻差退けての勝利。

どの勝利も脳裏に焼きついている。
スーパースターであった。

個人的見解だが、府中の2400を勝つ馬が一番だと思っている。
ウオッカはダービーとジャパンカップを勝っている。
さらにはマイルと2000もだ。
2008年からは海外以外のレースでは府中でばかり走っていたので、それを批判するような人も中にはいたようだが、府中という直線も長く、広いコースは競走馬の実力が一番発揮できる競馬場だと思う。
そのコースでこれだけの成績を残した彼女の戦績は賞賛に値する。

そして、彼女の同世代の牝馬。
スプリンターとして名を馳せようという、これからのところで無念の死を遂げたアストンマーチャン。
そして、良きライバルとして死闘を繰りひろげ、ドバイ遠征前に無念の故障で引退せざるを得なかったダイワスカーレット。

彼女たちの無念の想いをも背負ってウオッカは走っていたと思う。

ウオッカ自身も最後の目標レースには出走できずに引退となるが、牝馬でここまで長く頑張って第一線で競馬界を引っ張ってきたのだ。
少しゆっくり休んでもらいたい。
が、春には母となる為の大仕事も待っている。
彼女はまだまだ休めないのかなぁ。。。

牡馬とか牝馬とかそういう次元を超えて、多くのファンの心をつかんだウオッカ。
彼女の名は永遠。
そして、僕たちは何年経っても自慢できる。

「ウオッカのレースを見たんだ!」
とね。

そして、これから競馬ファンになる人たちにもウオッカのことを語り継いでいきたい。

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