朝の風景
というか、毎朝のルーチンです。
 
 
音符ルンルン音符ルンルン(携帯のタイマーの音)
眠い・・・
「ウッ・・身体が重い」
 
身体が怠く言う事を聞かない
何故だ⁉️
少しずつ眠気が去って頭が冴えてくる
思い出した
昨夜は2時半頃、不審な気配を感じて飛び起き、トイレに駆け込んでから1時間ほど布団の中で警戒していた為、睡眠時間が足らないのだ。
そうは言っても、今日は朝から他地区のエージェントとTV会議の予定が入っている。
遅れる訳にはいかない。
 
だるい身体を無理やり叩き起こし、下腹部に溜まった水分を放出してやる。
その足で体重計に乗る。
”170cm、57歳、男”
”体重61.1kg、BMI21.1体脂肪14.1・・”
"スタイルはイイよ!スタイルは!”
うるさい!いちいち喋らなくても見りゃ分かるんだよ!
つい文句を言ってしまう
 
ブリーフィングルームで人の気配!
愛用のキンバー1911ウルトラキャリィーⅡを手に取り背後を警戒しながら様子を窺う。
 
司令官が大型モニターを凝視している。
朝から情報収集しているようだ。
最新情報を聞くと
「まんぷくヌードル」
とひとこと
『暗号か?』
新しいエニグマで解読しないといけない。
今日の作戦指令かもしれないからだ。
 
司令官のわきをすり抜け、大豆由来のプロテインを取り出して飲み干す。
最近のプロテインは美味くなっている。
 
目立たないスーツに着替え、見た目より重いビジネスバッグを持って部屋を出る。
どこからどう見ても普通の冴えないサラリーマンだ。
外に出ると小学生の集団が屯っている。
最近は小学生といえど警戒を怠ってはいけない。
油断すると足元を掬われかねない。
 
ゆっくりと集団をやり過ごし駅に向かう。
表通りに出ると周囲に目を配り、腰のホルスターに収まっているキンバーUCⅡの感触を確かめた。
駅までの道のりは平たんではない。
前方から自転車が、
一見学生のようだが、きっと敵のエージェントだろう。
すれ違う時、身構えたが、正体を気付かれたと思ったのか何もなく通り過ぎていった。
 
それとも、本当にただの学生だったのか。
 
途中激流の運河を渡り。
赤信号を警戒し止まってる俺の横をまるで何もないかのように通り過ぎていく女性。
何かに追われているのか、それとも赤色が認識できないのか。
この女性時々お目にかかるのだが、常に何もないように通り過ぎていく。
 
約1.5kmの道のりを約20分かけて歩く。
当然周囲を警戒し何が起こっても直ぐに対処できるように意識を張り巡らせる。
ただし、一見普通に歩いているように見せかけなければならない。
プロの歩行術を完璧に身につけるには10年は必要だろう。
 
駅のホームでは、壁にもたれるように達背後以外の三方向に目を配る。
左の方から乗客の群れが迫ってくる。
その中に一際目立つ女性が居た。
きりっとした顔が某美人女優に似ている。
前方を睨むように見据え、顎を上げて足早に通り過ぎる。
近いうちに何処かで合同のオペレーションをすることになる予感がする。
 
彼女を見送ると同時に列車が滑り込んでくる。
車両の中は乗客がまばらだ。
今は学生が休みに入っているからだろう。
9人掛けの長椅子に2~3人の乗車率だ。
俺は、常にドア側に立ち周囲を警戒する。
 
プッシュ-!!
 
いきなりドアが開き俺は転がるように飛び出してしまった。
目の前のホームには2列に並んだ乗客であふれかえっている。
目立つことのないように、早足になっていないか注意しながら人の波の間を縫うように歩く。
改札を抜けて地上に出ると目の前にビルがそそり立っている。
ここが、俺が潜入している職場だ。
通い始めて35年になる。
思えば永いこと潜入している、あと3年でそれも終わるのだ。
感慨深い
今日は、なぜか感傷的になっている。
気を取り直し前を見て歩を進める。
これから、またいつもの日常が始まるのだ。