映画『沈まぬ太陽』 | Hardnutのブログ

映画『沈まぬ太陽』

『沈まぬ太陽』を観てきた。

山崎豊子の原作は出版されてすぐに読んだのでもう10年以上前のことで記憶が定かでない部分もあるが、映画を観ていて「こんな場面あったかなぁ?」と思ったところはいくつかあった。それでも主人公のモデルになった故小倉寛太郎氏のことが懐かしく思い出される。


昭和が終わろうとしていた正月に、キリマンジャロの麓のロッヂにご家族と来ていた小倉さんに会った。

ナイロビとモンバサのちょうど中間地点にMutito Andeiという町があり、そこからキリマンジャロへ向かって30kmほど行くとKiranguni Lodgeという宿泊施設がある。ここはキリマンジャロの眺望も素晴らしいけれど、このロッジからほど近いところにキリマンジャロからの地下水が爆発的に噴き出すMzima Springという大湧水があり、その下流の水中展望施設からカバが間近に見られるので有名なところだ。

ナイロビで何度か会っていたので挨拶を交わす程度だったが、もちろんその時点では小倉さんがなぜナイロビにおられたのかも御巣鷹山との関わり合いも知らなかった。

『沈まぬ太陽』の単行本が出版された直後の1999年に、旅行で単身ナイロビを訪れていた小倉さんとナイロビの某氏宅で夕食をご一緒し、その時、この小説を絶賛する文芸春秋だったかの書評の話になったとき、小倉さんがふいに涙をうかべられたのが忘れられない。


1988年の頃、小倉さんの二度目のナイロビ勤務のときにはもっぱら動物写真を撮っておられ、当時ナイロビ市内の日本食レストランでその写真を展示したりして得意満面でまわりの人に説明していた氏を「大して忙しそうには見えないし、気楽でいいなぁ」と思って見ていたけれど、人の内なる苦悩は端からは分からない。