「財政ファイナンス」と云う経済用語?が有ります。「財政」とは英語で「Public-finance」と書くので、「財政ファイナンス」は「Public-finance finance」となります。日本語読みで「パブリックファイナンス ファイナンス」です。「財政ファイナンス」とは、日本語で「財源調達」のことですが、「財政」の意味には「財源」他に「収支管理」の意味も有り、この場合は「財政収支」と言います。 

 

 政府の財源には、税金、国債、通貨発行益等があります。税金は国民の所得を確実に減らします。国債は国民にとっては資産の科目変更でしかないので所得に対しては中立です。

 

 通貨発行益の場合は少し複雑で、日本では政府が発行できるのは「貨幣」のみで、日本の法律では「貨幣」は「硬貨」の事を言い、製造費用と額面との差額が政府の「貨幣発行益」になります。但し、「一円玉」は発行するだけ損失が出ます。

 

 通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律 第五条 

貨幣の種類は、五百円、百円、五十円、十円、五円及び一円の六種類とする。

(記念貨幣は上記のほか、一万円、五千円、千円の三種類。)

 

 日銀の「通貨発行益」は、「国債の利息から発行経費を差し引いた額」ですが、多くの場合、「日銀通貨」は日銀当座預金に「数字」で印字されるだけで「日銀通貨」が市中に流れる事はあまりありません。実際に、日銀券(紙幣)の発行残高は100兆円程しかなく、国債発行額の1/10以下で、日銀当座預金の1/4程です。庶民が見かける「お札」以上に、日銀は「見えない通貨」を発行しています。

 

 この「見えない通貨」の発行量を増やす事を主張しているのが「リフレ派」ですが、経済成長(GDPの増加)政策としては、悉く失敗しています。

 

 法律を変えれば「政府紙幣」も発行可能になりますが、この時の「通貨発行益」はその定義上「0円」といえます。それは、政府が発行する国債を、政府が発行する紙幣で買い入れても「利息は行って来い」になるからです。つまり、「政府紙幣」は「無利子国債」と同じモノと言えます。

 

 但し、「永久無利子国債」は償還の義務が無いので、これを「政府紙幣」と呼ぶ事も出来、この場合は額面と発行経費の差額を「通貨発行益」と云う事も出来ます。その代わり、景気が回復した時には悪性インフレを防ぐ為に、政府紙幣を回収する必要があり、回収した分「通貨発行益」は逆に全額消失してしまいます。

 

 ところが、景気回復とともに「税収の自然増」は明らかなので、法律で政府紙幣の回収基準を定めれば、客観的な経済政策を実施できます。

 

 これが「リフレ派」とは違う、「MMT」を利用した経済政策になります。