「虚実」とは一般に「虚構と事実」や「虚証と実証」の反義語を合成した熟語(合成語)ですが、ここでは「真実」に対する対義語(反対語では無い)として「虚実」と書きます。
例えば、「善」の反対語は「悪」で、「右」の対義語は「左」です。左右の手は反対方向に付いている訳でも無く、相反する動作をする訳でも無いので、左右は互いに対義語と言えます。

 

「事実」の意味は「現実に起こり、または存在する事柄。本当のこと。 」で、他人がこの「事実」を認める為には再現性を必要とします。その反対語を「虚構」と言い、作り話や事実らしいことも含みますが再現性はありません。再現性が有るように見える「マジック」は錯覚ですが、これは錯覚の範囲内での「事実」と言えます。

 

「嘘も100回言えば真実になる。」と言いますが、これは「事実」かも知れません。コマーシャルを繰り返し放送する事で商品が売れる事実が証明されているので、これは錯覚とは言え、事実とも言えます。しかし、この「嘘」その事自体が「事実」では無い事を知っているので「嘘も・・・」と書いて有り、その結果として「事実」ではなく、「真実」になると言っています。

 

「真実」とは「社会性を持った事実」です。
ある人が(確実に)夢を見た場合に於いて、この夢はその内容を含めて「事実」と言えますが、この「事実」を誰にも言わなかった場合には、夢を見た事自体が「真実」とは言えません。
しかし、この「実際に見た夢を事実として」他人に話した場合には「社会性を持つ」事になり、聞いた人が「信用した場合」を「真実」と言い、反対に「信用されなかった場合」は「虚実」と定義します。

 

「虚数」の「虚」は嘘ではなく、見えませんが「実際に定義された数字」です。勿論、「実数」も物の数として確認は出来ますが「定義された数字」に過ぎません。同様に「虚実」の「虚」は嘘ではなく、「確かに見た夢」のように再現性は無いが「実際に有った事実」です。

 

とある国会議員が「自分の手から金粉が出てきた。」と云う意味合いの事を言ったそうです。恐らく、再現性は有りません。これを一般的に「嘘」と言いますが、当人にとってみれば「事実」かも知れません。それは、夢かも知れませんし、錯覚や誤認かも知れませんが、それでも本人にとってみれば「事実」と言えます。
実際に、病理学的に「金色の点がキラキラ見える幻視」があるそうです。また、ある種の飲食物を摂取した後の汗が乾燥して金(黄)色に見える場合も有るそうです。
これらの可能性を無視して「嘘」と言うのは、この現象を表現する「言葉」が無いからです。この再現性のない「事実」を「虚実」と定義すれば、科学の発展にも寄与します。

 

例えば、「UFO」は未確認飛行物体の意味であり、その意味からしても再現性は期待できませんし、「嘘認定」される事が多いのですが、アメリカ国防省は確認作業を始めました。これも「虚実」の一つと言えます。