「眼を開く」 マイケル・Z・リューイン 13年ぶりのシリーズ復活
書店で本書を見つけた時、何がびっくりしたかと言うと、
久々のアルバート・サムスンシリーズの刊行、ということよりも
帯に書かれていた「13年ぶりの登場」の文字。
おいおい、13年かよ...。
前作「豹の呼ぶ声」は刊行された翌年に読んでいたかと
記憶しているので、個人的には12年ぶりの再会とは言え、
この年月を考えると、自分も年を食ったなあ、とつくづく思う。
子供もできるし、髪も薄くなるさ。
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アルバート・サムスンシリーズは、おそらく他の探偵シリーズと
比して、「覚えていなければならない細々とした設定」が少ないシリーズ
なのだろう。娘がいて、母ちゃんがいて、別れた恋人がいて、
親友の警官の名はジェリー・ミラー、くらいはさすがに覚えていたし、
あとは「豹の呼ぶ声」のラストをおぼろげに記憶していれば、13年の
年月を必要とせずに、読み進めていくことができた。
- マイクル・Z. リューイン, Michael Z. Lewin, 石田 善彦
- 眼を開く―私立探偵アルバート・サムスン
<感想>
80年代後半に読んでいた時は、マット・スカダーシリーズほど物語にカタルシスは
ないし、スペンサーに比べては軟派だし、プロットならジョン・マーシャル・タナーもの
の方が緻密だし、かと言ってウィットでもジェイコブ・アッシュほどアクは強くない。
そんな印象だった。
しかし、今回の新作で「変わらない」あるいは「さらに情けなさを増した」サムスンの物語
は、多少の贔屓目があったとしても、好ましく思った。
おそらく硬質な「ハードボイルド小説」を期待せずに、「シリーズものの私立探偵小説」と
して読めばサムスンのユーモア、あるいはペーソスみたいなものが素直に楽しめるので
はないだろうか。
残念な点は、「13年ぶり」はあくまで読者側だけであって、物語的には数ヶ月~数年
しか時間が経っていないこと。「沢崎」シリーズでも感じたことだが、あまり「シリーズ再開」
に対する読者の期待を活用はしていない。これが2年ぶりの新作だったとしても驚かない。
とにかく「正統派私立探偵小説」がセールスに結びつかない現在の出版業界の中で、
翻訳されただけでも感謝すべきなのかも知れない。
<5点満点>
翻訳してくれて有難う度:★★★★★
読んでいる間は幸せ度:★★★★
シリーズ未読の人へのお勧め度:★☆
これを機会にサムスンシリーズを読み直したい。
あと、恥ずかしながら未読だった「探偵家族」シリーズも。
はじめまして
80年代後半~90年代の始め、まだ学生だった頃、貪るようにハードボイルド
と呼ばれる探偵物の小説を読んでいました。
これまで読んできた小説を振り返るのも良いかなあ、と思い、ブログに
していくことにしました。

