美味しんぼ今昔
Yahoo!コミックのコンテンツの中に、《美味しんぼ》があることに気がついた。
この漫画は週刊ビッグコミックスピリッツに連載されており、
グルメ漫画の元祖と言われている。
厳密には《美味しんぼ》のスタートする10年前に発表された、
ビッグ錠の《庖丁人味平》が元祖と言うべきなのかもしれないが、
大人から子供まで知られるようになり、アニメ化までされ、
《美味しんぼ》に触発された他のグルメ漫画が相次いで発表されたことを考えると、
グルメ漫画というジャンルを確立したのは、やはり《美味しんぼ》ではないかと思う。
この関係は、映画の《地獄の黙示録》と《プラトーン》に似ている。
《地獄の黙示録》の方が6年早いのだが、
ベトナム戦争ブームを巻き起こしたのは《プラトーン》である。
まあ、《地獄の黙示録》は内容がちょっと難しいというのもあるけど。
俺にはさっぱり分からなかった。
原作がジョゼフ・コンラッドだから仕方ないか。わお、超むず。
閑話休題。
《美味しんぼ》の出現によって、猫も杓子もグルメを語るようになった。
海原雄山のような、高飛車でもったいぶった言い回しも、かなり流行った。
《ぬうう、この鈍重な○×はどうだ!》とか《お前に○×を語る資格はない!》など。(笑
でもやっぱり秀逸なのは《まったりとしていて、しつこくない》でしょう。
《醸し出す》とか《ハーモニーを奏でる》とかも流行ったな。
《以後慎め!》とか《ちゃんちゃらおかしい!》もあったっけ。
…きりがないからこのあたりでやめとこう。《北斗の拳》みたいだな。
俺は学生の頃、単行本を集めていたので、とても懐かしかった。
Yahoo!コミックは無料で20ページほど立ち読みできるため、一巻から順に読んでいった。
単行本を集めていたときから感じていたことだが、
キャラクタの描き方が激変していることを、今回改めて感じさせられた。
1巻から5巻のあたりなど、みんなバカボンに出てくるような二頭身で、
ギャグ漫画にしか見えない。
ところが、10巻あたりになってくると、作画者が慣れてきたというのもあるだろうが、
みんな四頭身とか五頭身に成長(笑)して、キャラクタは普通になってる。
ヒロインの栗田ゆう子がメキメキと色っぽくなってくるのも、この頃からである。(笑
ちょっと脱いだところを見てみたいと思ったのは、俺だけではないはずだ。(爆
しかし、せっかく色っぽく、女らしくなってきた栗田ゆう子も、短命であった。(泣
20巻あたりから、線が崩れ始める。
もっともこれは彼女に限ったことではない。キャラクタ全般に言える。
簡単に言えば、絵柄そのものが変わってきてしまったのだ。
キャラクタも、背景も、すべてである。
おかげで栗田ゆう子も二木まり子も、なんだか妙な顔になってしまった。
絵柄の他に変わったところと言えば、
30巻前後から、1話読み切りでなく、3話4話5話とまたがるケースが多くなる。
おかげで内容が複雑になり、俺みたいな低脳にはついていけなくなってきた。
もうお手上げである。
俺は30巻あたりで単行本をすべて手放した。スピリッツも読まなくなった。
あれから20年くらい経った。単行本はなんと100巻を超えているらしい。
昨年、山岡士郎と海原雄山が和解して、一時スピリッツを休載していたらしいが、
今年から復活したようである。
同じくスピリッツに連載されていたホイチョイ・プロダクションの《気まぐれコンセプト》に、
アニメの《美味しんぼ》をネタにしたものがあったのを、今でもよく覚えている。
それは主題歌をパロディにしたもので、
《究極のメニューと至高のメニューの勝負 最初に料理を出した方が負け♪》
これには本当に腹を抱えて笑ってしまった。まさにその通りだった。