逮捕。

▼破壊では内容と全く合わないし。原題の逮捕するというタイトルに込めた製作者たちの思いが伝わるわけもない。駆けずり回り逮捕したところで、法の網をすり抜けていく悪党たち。刑事たちが逮捕したその先はあまりにも空しい。▼とぼけたユーモアで内なる使命感を覆い隠すエリオット・グールドのシャイでアンチなダンディズム。やるせない思いを素直に人には見せることはないのだ。しかし物語の最後、大物を捕られながらも彼の正義は無常にも踏みにじられ、グールドは警察を去る。▼高校生の時ビデオで観たが同時期に観た『ロンググッドバイ』の方にやられてしまい内容的印象は薄い。アンチカタルシスの結末も残念ながらさほど新鮮に映らなかった。しかし『破壊』は正義の敗北というニューシネマ的な社会性を描いて忘れ難い映画ではあった。▼今回、逮捕というキーワードを頭に浮かべながら観ることで、この映画に素直に触れられた気がした。エリオット・グールドとロバート・ブレイクのふたりは逮捕するまで悪党を追いかけ、ひた走る。まさにそれこそが負け犬と謗られた者の矜持なのだ。