怪奇美。

▼全編に漂う妖しい雰囲気、この空気感こそ『白い肌に狂う鞭』の真の主役だと思う。ここは原色に彩られた魔界なのだ。▼冒頭、黒装束で颯爽と登場するクリストファー・リーのデカダンな佇まい。妖気のなかにダンディズムを匂わすその挙動ひとつひとつが画になる。彼の品格が扇情的なタイトル通りかなり異様な世界を描く本作を単なる下劣な映画にさせないのだ。▼邦題通り、鞭がうねり肌を引き裂く場面の強烈なエロチシズム。その衝撃的美しさは凄まじい。これは単なる怪奇映画ではない。ゴシックとデカダンスの融合だ。江戸川乱歩は本作を観たのだろうか。この世界に通ずるものがあるように思う。ミステリ映画ではないものの本作の話の骨格は実はサイコスリラーだったりするのだ。全くの余談ながら、リーには明智小五郎役が似合うなという考えも頭をよぎる。▼マリオ・バーバ監督はカメラマン出身だという。まさに本作、人工的な色彩によって物語の異様さを際立たせ、本当の恐怖- 人間の奥に宿る魔性にフォーカスする確かな映像感覚が冴え渡っている。