1978年版。

▼戦前の昭和を舞台にした原作は、科学捜査の発達した現代では全く成立出来ない物語だが、終戦後に時代を移し金田一耕助を登場させたこのテレビドラマシリーズ版はその怪奇性を見事に抽出した傑作だ。深夜、柳の木の下に蛍が舞い踊るなか佇む美しくも恐ろしい真珠郎の姿が原作通り幻想的に描かれて忘れ難い印象を残す。この美少年のイメージの沈着が、ドラマを引っ張る最大の肝でもあるのだ。▼大谷直子が少しオーバーアクト気味で事件の構図は早めに見えてしまうものの、オリジナルのひねりもあって最後まで押し切った感がある。むしろ、大谷の原色を基調とした服装からして最初から怪しいので、要はいかに彼女が男を手玉にとり騙すかに演出の力点があるのだろう。▼原作は数年前に読み、貸したままなので手元にはない。よってドラマとの詳細な違いはわからない。しかしその時の読後の真珠郎のイメージは若い頃の美輪明宏だったのは覚えている。柳の下の真珠郎の正体は男装の麗人の女で、この設定はストーリーにうまく組み込まれている。でもやはり美少年こそが正解のように思う。ピーターという手もはあるが、美輪明宏の放つある種の暗さ、得体の知れない感じが真珠郎のイメージにぴったり合う。ただこれだとトリックの成立が難点だが。しかし、『真珠郎』の最も魅力的な謎は、男が何故あんなに美しくのか、というところなのではないかと思う。