抑制の結晶。

▼着流しの鶴田浩二とコンビナートのコントラストが鮮やかな『解散式』、ハードボイルドな暴力的現代劇『博徒外人部隊』と比べて余り明確な印象がなかった『博徒解散式』だったのだが、今回もラストの一騎討ちまで新鮮味には欠ける内容ではあった。▼終盤、渡辺文夫の事務所に乗り込んだ鶴田は、部屋を施錠し、ドスを放り投げる。ドスを取れと命じる鶴田に、無意味だと拒否する渡辺。譲らない鶴田。このやり取りが繰り返される内に渡辺の血は沸き上がるが、鶴田の血は逆に冷めきっていくように見える。鶴田は血気盛んだった昔の自分のその愚かさを思い出し、再び同じことをしている己れに絶望しているのかも知れない。決闘は逆光のシルエット気味で撮られていて美しい。抑制の美学。この映画鶴田は徹底的に我慢を強いられていた。深作欣二監督は古典的ガマン劇を逆手に取り、静かな意志の思想をここに結晶化し輝かせたのだ。