地獄だろうと、洪水だろうと。

▼原題のタイトルは、人間に襲いかかる困難を指す英語の慣用句からきているそうだ。『地獄と高潮』のタイトルバックには海水が舞い上がる大爆発と噴き上がるキノコ雲が描かれる。ただならぬ終末感に不謹慎にもワクワクしてしまうのだ。▼傑作B級チンピラアクション映画『拾った女』のコンビの放つ次回作が、このシネスコカラーの海洋アドベンチャー映画なのである。正義感は強いもののひねくれているリチャード・ウィドマークのキャラクター造形、情容赦なしのリアリストの世界観、フェミニズム思想などはサミュエル・フラーならではか。突っ込みどころもあるけど、見せ場も多く最後まで飽きさせない。最近観たジョン・スタージェスの大作の半分潜水艦映画『北極基地 潜航大作戦』より断然面白い。▼個人的には潜水艦映画には女子はいらないと思うのだが、女性科学者が重要な役割を持って艦に乗り込む本作は珍しいと言える。その変化球もサミュエル・フラー映画らしい感覚かも知れない。ジャーナリズム出身の常識を疑い、信じない、そんな反骨精神が、フィルモグラフィにもはっきり現れている。