大人対子供。
▼大人に子供は殺せない、そんな枷が『ザ・チャイルド』を絶望的にさせている。グーがパーに勝てないようにそのルールは崩せない。もっとも切羽詰まればそんなことは飛び越えてしまうのだが。▼映画の中の子供はもともと怖い。『光る眼』の得体の知れなさ、『影の車』の見透かされたような冷たい視線が思い出される。『ザ・チャイルド』には、笑いながら大人を殺す少女や、全く対照的に無表情な、不機嫌そうな少年が登場する。しかも、彼ら彼女らは元気良く襲いかかってくる。その辺の腐りかけの鈍いゾンビなどより、恐ろしい。成長期の勢いの良さは腕力と知恵頼みの大人さえ追い詰められる。▼それにしても見事な演出プランだと思う。下手すると喜劇になりかねない設定を、真の恐怖映画にするべくリミッターなんて妥協はない。観るものを地獄まで引きずり倒すため、寓話なんて甘い逃げ口はこの映画には用意されないのだ。よって観賞後、凄まじい後味がずっと心に残る。▼この映画の冒頭、世界の紛争での子供の犠牲が訴えられる。『ザ・チャイルド』の凶暴な子供は死んでいった、その呪いを受けたものとして描かれている。劇中、主人公たちが我が子に襲われ、反撃する構図は賢明にも避けられた。もし、そうなったときどうするか。その問いに容易く答えられない。答えようがない。そんな真面目さがセンセーションなこの映画を、単なる見世物と終わらせないのだ。