ハードゲイがこの映画の為に作られた和製英語だったとは、知らなかった。

▼こんなにホモ・ゲイばかりの映画観たことがない。何せ女性はアル・パチーノの恋人役カレン・アレンだけという徹底ぶりだ。四十年以上経った現在から観ても衝撃的である本作、公開当時はクリエイターたちを刺激したに違いない。同性愛と異常殺人というタブーに彩られた暗黒の楽園。触れてはならない世界がここにある。▼『LA大捜査線 狼たちの街』でも描かれた取り憑かれた者の異様な凄みと輝き。正気と狂気の葛藤の末、向こう側に行ってしまうフリードキンたちの人間たち。『クルージング』もまさにその映画だ。▼事件はあっさり犯人が逮捕解決され少し拍子抜けする位だが、その後エピローグとして語られるアル・パチーノの潜入捜査のねじれた顛末、曖昧ながら人格変容を見せる物語の着地点に寒気が禁じえない。殺人者であろうとなかろうと、彼はもはや向こうの河岸に渡ってしまったのだ。 ▼ 『フレンチコネクション』 同様正義の執行のためには狂気にも走る人間を描いてフリードキンほどスリリングな映画作家はいまい。 人間性という存在の危うさ、という現実認識が、映画を禍々しいくギラつかせる。