破壊せよ。
▼破壊せよ、と言ったのはジャズマンアルバート・アイラーである。唯一無二の音楽家のフリージャズと本作。フリーキー、奇妙で異常で風変わりという意味では重なるところがあるかも知れない。▼『豚と軍艦』のクライマックスのマシンガン乱射と豚の遁走のパニックはまさにシュールだ。確かに本作は喜劇であるが、これは暴動の映画かも知れない。長門裕之と豚たちはこの世を糞まみれに塗りたくり、ぶっ壊すのだ。▼このアナーキーな感覚は文芸作品では出せない。あまりにも毒を含んだ黒い笑いである為あり得ないと一笑されるだろう。だが、この映画は豚どもの寓話を実写化させる。画面いっぱいに展開されるおぞましさと狂熱のカオス。その混沌は現実さえ超えた、もはやファンタジーの粋である。まさに映画ならではだろう。▼本作が描くのは乱暴に言ってしまえば反米であり、そこにたかる豚と言う意味で反日映画である。『豚と軍艦』。それは戦後が生み出した病巣だ。だから破壊しなければならないのだ。▼それにしても、シンプルにして奇抜な素晴らしい題名だ。ただ、テレビで戦争犯罪人に抱きつくある人物を見るにつけ、『豚と軍艦』という言葉が頭をよぎるのだ。