牝狼のブルース。

関本郁夫監督の第一作になる予定だった『女番長 玉突き遊び』が主演の叶優子の負傷により撮影中断、代わって本作が先に完成上映となったそうた。これからご覧になる方はぜひ、『玉突き』から観てほしい。『女番長 タイマン勝負』が、自由奔放なカメラワーク、物語の密度、暴力の過激さ、などあらゆる面でパワーアップされた傑作だと体感出来るはずである。
自分たちには明日も昨日もない、今日しかない、と『玉突き遊び』で叶優子は言い放つ。この思想は『タイマン勝負』で池玲子がほとんど女版「人斬り与太」ばりに全編暴れまわり体現させる。今この瞬間を生きる彼女らスケバングループは、「野良猫」どころではない。狼である。ヤクザに仲間を殺された池玲子らは事務所に殴り込み残らず殲滅し、人間を車ごとスクラップにかけ始末する。その帰路、ダンプの荷台ですき焼きパーティを開く彼女らにはまったく悪びれるところがない。憂鬱を吹き飛ばし、目の前に立ちはだかる壁を叩き壊す姿に個人的にとてもブルースを感じるのだ。
『玉突き遊び』では、叶優子らがトップレスで水浴びに興ずる健康的でさわやかな素敵なシーンがあるのだが『タイマン勝負』では、池玲子のスケバングループが『ファンキーモンキーベイビー』をBGMに自転車で遠足に出る。彼女らは川辺で野良犬を捕まえ捌いて露店で売りつける。潔いブラックユーモアが清々しい。この感覚は女性でしか生み出せないかも知れない。後ろ向きな男ではあり得ない世界観である。言い切ってしまえば、『女番長 タイマン勝負』の女たちは何のためらいなくジャンプ出来るのだ。元気に前向きになれる、それだけでも素晴らしい女性アクション映画の傑作だと思う。