男たちの怨み。
 一般的には『人斬り与太』へのステップボード扱いだけれども、あのような過激さはない。むしろこの後の『博徒外人部隊』の方がプロット、ヒロイン像の点で『与太』に似通っている。『血染めの代紋』のドラマそのものは青臭く清潔なのだ。例えば『太陽の墓場』のような  エネルギッシュな男女の姿は描かれない。スラムの景色は見事だが、アウトサイダーたちの声が伝わってこない気がするのだ。
 この映画の欠点の一つは、深作監督の過去作の表現の使いまわしが所々見えるところだろう。新鮮さに欠ける以上に、なにか味気なく描かれてしまっている。菅原文太演じるスラム出身の若組長の苦悩ばかりでひたすら重苦い。悪玉善玉の色分けがきっちりされていて任侠映画の枠をはみ出ることもないのだ。梅宮辰夫の元ボクサーも矢吹丈にはなれず、どこかあやふやで地に足を着かない感じだ。ラスト、更地と化した旧スラムを舞台にした殺陣にはデスペレートな高揚感はない。あるのは消え去った町の記憶をドスに刻み込む、その怨みだけだろうか。