光る霧。
 日曜洋画劇場か、テレ東の日曜昼間に観たような記憶がある。BDに収録されたいずれかのバージョンであるはずだ。字幕版は観た記憶はあるような、ないような。霧だけに記憶がモヤモヤしてるのかも知れない。
 月日は流れ、映画の霧の中の亡霊たちは、なぜだか私の中で黒衣の騎士団に書き変われてしまった。白く光る霧の中を颯爽と駆ける騎士の群れという妄想がいつの間にか出来上がってしまっていたのだ。
 実際の久しぶりの『ザ・フォッグ』はとても地味な映画であった。灯台にあるラジオ局というせっかくの素敵な設定をもっと物語にいかして欲しかった。というか、霧の設定自体上手くいかしきれていない。単なるドライアイスの煙にしか見えない霧ではどうにも白ける。登場人物が知らぬ間に霧の中に迷い込んだり、視界が塞がれている森の中を掻き分けて逃げるとかの、人間側がパニックに陥る状況を作り出していない。亡霊側も襲い方、武器が単純すぎる。霧の中にだけに見える存在の幽霊なのだから、超自然現象を利用してもっと派手に何でもやれるとのに。主人公の女性ラジオパーソナリティーと物語の鍵を持つ神父に繋がりがなく、造形の浅いから結末もかなり呆気ない印象が残る。つまりは、光る霧という謎の神秘を魅力的に描ききれなかったことなのだろう。もっと面白くなれる可能性がある分残念ではある。
  それにしても、白夜のような霧の中を馬上の黒騎士たちが跋扈し暴れまわる、幻の俺の『ザ・フォッグ』、誰か作ってくれないかな。