タニヤ・ロバーツ讃。

両親を事故で失った美少女。アフリカの現地民族に育てられ逞しも美しく彼女は成長し、ジャングルの女王シーナとなったのだ。シーナ=タニヤ・ロバーツがゼブラに跨がりブロンドの髪をなびかせ疾走する、オープニングの美しさは素晴らしい。露出の多い衣装だが、むしろ健康的な美しさが気高く眩しいほどだ。このシーンだけでも、『シーナ』を観る価値はある。スタッフ側もそうなのだろう。何せエンドロールはこのシーンの別ショットの長廻しなのだ。カメラは『ベニスに死す』ほか傑作を撮影した名手が担当したものであり、アフリカの大自然、野生の動物の群れをとらえたロケーションは神秘的なまでに美しい。シンセ音楽も雄大なのだがどこか優しげな旋律で女ターザンの清らかな心のようだ。ラジー賞もいろいろノミネートされたそうだが、ゼブラを駆るタニヤ・ロバーツの美しさが映画に見事に刻まれているのは、誰にも否定出来ない事実なのだ。
確かに内容的に優れたものではない。男性側のキャスティングの弱さも気になる。その為に野生の女が愛に目覚めるプロットがいまいち盛り上がりに欠けるのだ。しかし、ギラーミン監督のアクションは豪快だし、調教された動物たちの演技も見事である。そして、何よりこの映画のタニヤ・ロバーツには女性アクションヒロインにありがちな、か弱さが一切ない。時に凛とした心強さを感じさせ、低級エロアクション映画とは明らかにグレードが違うのだ。本来の野生的でセクシーな黒髪を、原作コミック通りに金髪に変えたのは、彼女に想像以上の効果が与えたように見える。青い瞳の輝きと相まってイノセントな品格が漂っている。まさに女王にふさわしい。
海外ではこのタニヤ・ロバーツに心撃ち抜かれて、二十回以上劇場に通いつめた人もいるという。作品そのものの出来と、映画の魅力は必ずしも一致しない。タニヤ本人は既にこの世にはいない。ここでしか観られない 彼女のその瞬間の美が映画の中に永遠に閉じ込められていて愛おしくも切ない。