高品格がフューチャーされている、新規立ち上げたデサインはなかなか素晴らしい。
『もんもんバラエティ』の影響なのか、ドラキュラ=岸田森のイメージがある。数年前観た『血を吸う眼』は思っていたものとは違って、吸血鬼伝説に深層心理をうまく絡めた真面目な物語で、期待した岸田ドラキュラが大暴れとはならない。その次回作『血を吸う薔薇』は、『血と薔薇』を下敷きにエロと怪奇に振り切られ多少えげつない仕上がりながらもパワフルな見せ場満載でドラキュラ岸田森が堪能出来る。この吸血鬼像はそのまま映画『ハンガー』なのだが、原作よりこちらが早いはず。
 『血と吸う人形』は、便宜上『血を吸う』シリーズ第1弾と扱われる。岸田森は出演しないが、怪奇映画としては、眼、薔薇を凌ぐ傑作であると断言できる。本作はいわゆる吸血鬼映画ではないが、血を求める殺人者の物語を描いて吸血鬼映画なのだ。『幽霊屋敷の恐怖』の副題通りスーパーナチュラルなものとして醸成された空気感が全編を覆い尽くし間然とすることがないのだ。脚本家小川英によるものと思われる物語のねり方、その怒涛のクライマックスの展開はシリーズ共通のものであるが、特に本作の驚愕の仕掛けは素晴らしい。『血を吸う人形』のタイトルが指す謎、その意味が観客に向け解かれていく劇的なカタルシスが見事である。この映画のメインアイディアが現実可能であるかどうかは私には判断しかねるが、その余りの意外性ゆえに観る者につけこむ余地を与えないし、人間の心理に隠された謎という論理は、この怪奇物語全てを肯定させてしまうのだ。ご多分に漏れず人間が一番怖いという定番が明示されるものの、小林夕起子の死ねない死体=悲しい人形が恐ろしくも美しく、この恐怖映画を類のないものへと輝かせているのだと思う。