十字路の伝説。

私はブルース愛好家なのだけれども、この映画あまり評判が良くない。ラストのギターバトルを部分的に観てはいたけど、まぁこれはブルースじゃないよな。しかし、実際に鑑賞してみると、ブルース入門のテキストは十分はたせる内容である。
開巻いきなりロバート・ジョンソンのレコーディング場面が現れ意表をつかれる。レコードジャケットのイラストそのまま壁に向かって歌うロバート・ジョンソンの姿が再現されるのだ。この映画のブルース談は深くはないが、間違いはない。ロバジョンの29曲も確かな事実だ。本作の特徴はクロスロード伝説を実在の儀式と描いているところだ。そのオカルトの為にクライマックスが悪魔のスーパーギタリストとのバトルとなる。現実離れしているがなるほどとも思う。ひとりの少年が己れのブルースを掴みとるという主題だけでは、地味かも知れないからだ。このプロットに異議はあるだろうが、私などいかにもウォルター・ヒル的決闘の構図にワクワクしてしまう。しかも、スライド派対チョーキング・スクイーズ派なんて夢の対決だ。しかしそれも、最終的にはメタル対クラシックになってしまうけど。スティービー・ヴァイのメタル側が破れてしまうため、ロックファンには評判が悪いのも、多分その辺だと思う。
ラルフ・マッチオの主人公が途中でアコースティックギターから、エレクトリックギターに持ちかえるのもユニークだ。小型アンプ肩に掛け、テレキャスターを手に旅する姿にとてもロマンを感じる。ここから数年後クラプトンのアンプラグドの影響でブルースはアコギのイメージが定着したと思うのだが、本作にはエレクトリックブルース讃歌がひしひしと感じられるのが嬉しい。公開当時存命中であったスティービー・レイ・ヴォーンも本作を観たのだろうか。エレキギター片手の旅人のイメージがそのまま重なるのだ。